国際セミナー「激動する南北情勢の中で拉致問題を考える」全報告
◆生きていることを信じるに足るたくさんの情報が出てきている
西岡力(救う会会長)
情報の話は、あまり公開しない方がいいのですが、崔成龍さんという人が最近、3つの情報を公開しました。スネドンさんは北朝鮮にいる。結婚している。金正恩にも英語を教えていた(8/30)。
また、この前タイに増元さんと一緒に国際会議に行ったのですが(11/17)、その少し後に、「アノーチャさんが平壌にいる」という情報を話しました。日本のマスコミはほとんど報道しませんでしたが、共同通信が書いています。
さらに、松本京子さんが病気で、平壌の赤十字病院に入院しているという話をしました(10/15)。
3つとも生存情報です。但し崔成龍さんは、「横田めぐみさんは死んでいる」、「北朝鮮の中の病院に死亡診断書がある。その死亡診断書の写しを自分は見た」と言っています。
私は崔成龍さんとは一時期仲がよかったのですが、今はあまりよくない。彼の情報源が誰かは知りませんが、彼は今中国に入れません。中国当局から大変警戒されています。
北朝鮮の情報源がそれほど豊富だとは思えないのですが、最近3つの生存情報が出てきた。これが全くでたらめではないとすると、誰かが彼に流している。その3つの情報が正しいと、彼の信憑性が高まって、横田めぐみさんが死んでいるという情報も正しいことになる。
偶然に、同じ時期に3人の生存情報を入手することはなかなか難しいので、彼自身がどう主観的に思っているかは別ですが、全被害者を返すことを避けながら、日本から取る物を取り、制裁を解除させたいと思っている人たちが、様々な情報戦を仕掛けてきていることは間違いないので、そのことと崔成龍さんが3つの情報を出したことと関係があるのかどうか注視しています。
一方で、金正恩政権になって、北朝鮮の権力中枢部の腐敗がどんどん進んでいます。幹部たちには金正恩に対する忠誠心はほとんどありません。意見を言うと殺されるので、みんな息をひそめているという状態です。
金正恩政権はいつか終わる。その時に外貨を持っていなければだめだ、と。改革開放時代になったらお金がすべてだ。とにかくドルを持っていなければならない。ドルのためなら国を裏切る人がたくさんいます。従って、情報が取りやすくなっていることも事実です。
そういう中で真実の情報が出やすくなっているわけですが、確実な死亡の証拠は出てきていません。複数の生存情報があります。死亡の情報がないから生存を前提に助けるというのではなく、生きていることを信じるに足るたくさんの情報が出てきていることも事実です。だからこそ、向こうで待っている人がいるということを断定的に言えるのです。
島田 今の北朝鮮から流れてくる様々な情報があります。また北朝鮮から韓国にかなり高い地位の人が脱北してきているという話を聞きますが、そういう高位脱北者の話や情報は何かあるでしょうか。