国際セミナー「激動する南北情勢の中で拉致問題を考える」全報告
◆今までなかったような変化がアメリカで外交・国際関係に起き得る
古森義久(麗澤大学特別教授)
この二人については前から活動ぶりをよく知っていますし、何回も会ったことがあります。共和党、民主党、保守、リベラルという区別で分けると、最も保守的なタイプの国際関係専門家です。対外的にものすごく強硬です。
アメリカは自由と民主主義を掲げる国ですから、それを否定するような全体主義、共産主義には強く反発します。政治家でもリベラルな方はすの反発が少ないのです。
ローラバッカーという人は、中国に対してはものすごく、言い尽くせないくらい強硬です。例えば北京の指導者と言わずに、北京のブッチャーと言います。ブッチャーというのはこういう場で使ってはいけない用語で屠殺人のことです。北京の屠殺人と言えば、習近平とか李克強などの指導者のことをそう呼ぶくらい強硬です。
なぜかと言えば、「人民を弾圧しているじゃないか」ということを言ってきています。実際にこういう人が国務長官になるのは夢というか、悪夢は言い過ぎですが、こんなことが起きるのかというくらい大きな変化です。ですからトランプ政権というのは、それほどの大きな変化をもたらすポテンシャルを持った政権なわけです。
そこで思うのですが、今の状況は2001年、2002年の状況、小泉訪朝で金正日が折れてきた状態、アメリカとの関係が悪くなって「悪の枢軸」と言われた状態、それで日本と和解をして、助けを求めて援助をもうらう。それには拉致問題を一部返す。ある部分、あの時の状況に似たような状況です。
8年間続いた民主党政権の後に、かなり強硬な共和党政権が出てきた。その強硬の度合いはブッシュ政権とは比べ物にならないくらいになっている。失敗することも随分ありますが、今まで見たことのないような変化がアメリカで、外交・国際関係に起き得るという認識を持っていた方がいいと思います。
島田 最後に今までの議論をまとめるコメントを一言ずついただければと思います。