拉致発覚から20年?我々はどこまで来たのかー東京連続集会93全報告
◆日本はやっているのだろうと思った
西岡力(救う会会長、東京基督教大学教授)
実は現代コリア研究所は、1997年1月の段階で、めぐみさん拉致は間違いないだろうと判断するに当たって、私も石高さんの原稿だけを使ったわけではありません。やはり、直接聞かなければならないと思い、昔からの知り合いの関係者に話を聞こうという努力の中で、ソウルにいる然るべき人から、「東京の大使館を通じて西岡にメッセージがある」と言われて会ったところ、長谷川さんが書いておられる通りのことを聞きました。
石高さんが書いた亡命者がいる、証言も間違いない、しかしこの人は公開しないということでした。それもあったので、「現代コリア」としてもインターネットに出したり、あるいは西村先生のところに持っていくことができたということです。
そして、私も同じような印象を受けました。逆に、石高さんにリークしたのは、日本政府に通報した後で、その背景も、何を日本はやっているのだろうと思ったことがあったのではないかと私は推測しました。一方、日本の公安側は私に、先ほど言いましたが、金賢姫さんの本を読んでみたらというようなことを教えてくれたりしていました。
先ほど、長谷川さんは2月3日のめぐみさん拉致の発覚記事については同着ではなくスクープだと言っておられましたが、最初の記事の中で、日本政府側のこともちゃんと取材されていて、「警察庁側はアエラの取材に対し、この問題をめぐる韓国側との情報交換について否定せず」と書いています。
つまり、事実上情報が来ていたことを認めたことまでちゃんと確認されている。韓国側がちゃんと情報を伝えた。「否定せず」というのは日本側も事実上認めたと読めます。そしてなお警察庁側は文章で、「ご指摘の人物が失踪していることと、ご指摘のような拉致に関する情報があることは承知している」と回答したとあります。
この情報というのは「現代コリア」のホームページしかないわけです。そのことよりも95年に韓国政府から聞いた情報を指していると思われますが、それは活字になっていません。そして、「失踪中の人物が拉致されたとされる人物と同一か否かについては確認されていないが、同人が拉致された可能性も含めて、所要の捜査をしている」と書かれている。今、特定失踪者とされる800人の方について、(警察は)こういう言い方はしません。
一番最初の報道で、名前を出すかどうかの問題とは別ですが、(政府が)韓国側にきちんとした回答をしておらず、きちんとしたコミュニケーションがとれていなかったこともあって、韓国側は「何をやっているんだ」と思ったとあるのは私と同じ印象ですが、他方、日本の警察の姿勢は冷たくはなかったということです。
もう一度この記事を読んで、ここまで書いていたんだなあと今日思いました。この辺の取材について何か話せることはありますか。