緊迫する朝鮮半島情勢下での救出戦略ー東京連続集会95全報告
◆アメリカ本土に届く核・ミサイル開発は在日米軍を動かせないため
西岡 力(救う会会長)
各論に入る前に北朝鮮の核・ミサイル開発の戦略的な話をしてくれましたが、そこは私も全く同じ考えです。1950年代に金日成が決めた戦略です。在日米軍が応援に来る。北朝鮮にとって勝ち目があるのは奇襲しかない。奇襲南進をする。在韓米軍基地まで壊すことはできるが、すぐ在日米軍が支援に来る。それで第一次朝鮮戦争で勝てなかった。
これは亡くなった黄長燁元書記もそういうことを言っていましたし、李哲数(リ・チョルス)というミグ機に乗って亡命(1996年)したパイロットも同じ話をしています。
北朝鮮は最近、ミサイル発射実験をした後、「このミサイルは日本に届くんだ」と言いながら、在日米軍基地がターゲットだと言っているのは本音そのものだということです。
この間の専門家の論争の中で、1990年代から北朝鮮の核開発が議論になったわけですが、今回3回目の危機がきていると思います。
日本の専門家の多数は、「北朝鮮は本気で核武装をする気はない」と当初は言っていました。「技術的に無理だ。外交的に使うためにやっている。金を取るためにやっている」と。
ところがその後、核開発が進んでいることが明らかになると、「自衛のためだ」と。考えてみると、当初「核開発をする気はない」というのは北朝鮮が言っていたことです。核実験をした後北朝鮮は、「自衛のためだ」と言った。そうすると日本の専門家も「自衛のためだ」と言い始める。
「労働新聞」に書いてあった、と。「核を持っていなかったリビアのカダフィやイラクのフセインは殺された。だから我々は持つんだ」と。それをそのまま「自衛のためだ」と言っていた。
しかし、1950年代から金日成が始めた戦略だということを北朝鮮の人間はみんな知っているんです。みんなというのは軍事関係者や対南工作関係者です。そういう点で金正恩政権は簡単にアメリカまで届く核開発をやめることはありえない。
前のオバマ政権と違って、トランプ政権は「戦略的忍耐はしない」と言っている。そして、「アメリカまで届く核・ミサイル開発はさせない」と。忍耐しないと言っているんですから、任期後半まで待ったりすることはないんです。
今年、来年の間にまずは経済制裁をする。中国にセカンド・サンクションをかけさせてもやめさせる。それができなければ、すべての手段を使ってでもやめさせると言っていることが近づいてくるかもしれない。
こういう大きな枠組みだと思いますがどうですか。