緊迫する朝鮮半島情勢下での救出戦略ー東京連続集会95全報告
◆強い圧力がかかった時に日本に接近してくる
西岡 そして日本に接近してきて、第2次小泉訪朝までありましたが、しかしアメリカがその後も北朝鮮に対する圧力をかけ続け、6者協議という枠組みが中国によって決定されて、最終的にはブッシュ政権も後半になって、北朝鮮が6者協議を通じて、「核・ミサイル開発をやめる」と言ったから軍事的圧力を下げてしまった。テロ支援国家指定も解除してしまった。
この時一番効いていたのは金融制裁でした。第1次核危機の時も日本が総連の金を止めるという制裁が効いたんです。軍事的圧力とともに、39号室、北朝鮮の核開発の財源にもなっている金正日の秘密資金を扱う部署の外貨源を断つというのは効くんです。
マカオの銀行(バンコ・デルタ・アジア)も、秘密資金の出入り口だったからそこへの制裁が効いたわけです。軍事的圧力と外貨源を断つという制裁が起きたときに日本に接近するということがあった。
最終的にブッシュ政権は、北朝鮮の口約束にだまされた。北朝鮮というのは本当にだますわけです。追い込まれると接近してくる。しかし、「5人は返しましたが8人は死んだ」とだまし、アメリカに対しても「核開発をやめる」と言って、寧辺の施設を爆破するショーを見せて、だまされてしまった。
そしてその後、オバマ政権が「戦略的忍耐」と言って、北朝鮮の核開発を事実上放置した。その間、着々とミサイルも核も開発が進んだ。しかしトランプ政権がそのことに気づいて、いよいよアメリカ本土までが危うくなってきた。
アメリカ本土にまで、北朝鮮のようなアジアの独裁者がいつでも攻撃できる状態は絶対許容できない、と。「アメリカファースト」と言っているトランプ政権も、そこで線を引いた。これが3回目の今の状況ではないかと思います。
こういう中で、アメリカが今やろうとしているのは、北朝鮮の外貨源を断つために中国に対して経済制裁を強めろと言っている。それから世界中の国に、北朝鮮の出稼ぎ労働者を使うのはやめろと。とにかくターゲットは39号室資金を枯渇させること、それと軍事的圧力です。この2つがまたかかり始めた。
まさに3回目。そしてアメリカにとても、もう後ろがない状況になってきている。しかし、金正恩からすると、これまでだまし続けてここまで来たんだ、と。完成間近に来ている。すべてのことを犠牲にしてここまで来た。それをやめるのか。持ってしまったらアメリカは核保有国として認めて交渉するだろうと思っているわけです。
こういう中で今、我々は拉致問題と核問題を切り離して、最優先で交渉せよ、と。金丸訪朝、小泉訪朝と同じように、強い圧力がかかった時に日本に接近してくることは、十分あり得る。それを活かせるかどうかは、日本が日本の議題設定をするかどうかにかかっている。この点についてどう思いますか。