北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会96全報告
◆配給で生きる人口は3割に
宋允復 体系的に整理しているわけではないですが、90年代から「苦難の行軍」を経て、死ぬべき人は死んでいった。配給がいつか回復されるだろうと党を信じて、待っていた人たちがどんどん亡くなった。
西岡 「苦難の行軍」は1995年から98年までくらい。「労働新聞」に「苦難の行軍」と何度も出た。それは金日成がゲリラをやっていた時のことを、「苦難の行軍」と言ったが、新たな「苦難の行軍」の時代だと言っていました。その時代に300万人程度の餓死者が出た。
宋允復 今生きている方々は、その「苦難の行軍」を生き延びた強い人たちで商売をやっていた人たちです。国から割当てられた仕事をやるのが人民の清潔な社会でしたが、商売という利己主義はやってはいけないとされていた。
80年代に、金日成が一時期、人民にちょっとした家内生産をやらせた。豆腐を作って売るとか、パンを作って売るというような。ところが資本主義的な要素が広まって情報も行き来するので、これは止めなければいけないとなった。その時取り締まられ、特に女性が刑務所に送られて死んでいくことがありました。
しかし、90年代に商売で生き延びた人たちが今闇市を形成し、近年それが合法化された。公営市場で場所代を取ってやらせた。そこで利権を握っていたのは党の幹部、地域の警察や秘密警察で女性たちが多かった。
市場で不祥事がある。例えばビデオがメモリーの中に入れられて流通するとか。あるいは禁制品の韓国製品。そういうのを取り締まるんですが、あまり真面目に取り締まると、地域の実力者との関係が悪くなるので、手加減する。
その公営市場に場所代を払えない人は、周辺で闇市をやる。「バッタ市」と言います。取り締まりがきたら、荷物をまとめて走って逃げる。
西岡 バッタのように飛んで逃げるということですね。