北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会96全報告
◆市場では中国元が使われる
西岡 去年の1月に核実験があって、3月に国連の安保理事会で制裁決議がされ、中国もロシアも拒否権を使わなかった。その時噂がわっと流れた。日用品も中国が止めるのではないかとか。そしてトンジュがコメの買い占めに走った。ところがコメは禁輸品に入らなかった。
一つ重要な事実をお伝えすると、北朝鮮の市場で使われている貨幣はほぼ人民元です。北朝鮮の貨幣でもやしは買えるそうです、だけどねぎは買えないと言っていました。そのくらいになっていて、党費を出す時は北の金を使うけど、あとは使えない、と。
デノミをやりましたから使えないとみんな思っているわけです。中国の人民元経済だから、中国のコメの値段と比べて少し北が高いと持ってくるそうです。持って来れば儲かるわけです。
制裁があると思ってコメを集めた人たちが、逆にコメの値段が下がって損をしたといってわっと投げ売りしたから去年のコメの値段は安定していた、と聞きました。
ガソリンは、そもそも市場で売っていること自体少し前まで考えられなかった。軍需品ですから。それが今や、「全国にガソリンスタンドがあるんですよ」と。そしてバスが走っていて、定期バスが走っている。
ガソリンをどこから買ってくるかというと、トンジュは人民元やドルを持っているので中国から持ってくるし、最近はロシアから貨物列車で持ってくる。軍や中央政府には外貨がなく、タンクいっぱい買えない時がある。そのすきま分をトンジュが金を出して買って、それでセルフのガソリンスタンドを運営しているそうです。なんでそんなことできるんですかと聞いたら、一番有名なのは金元弘(キム・ウォンホン)という国家保衛部長の息子で金チョルというのがいます。貿易をやっていて外貨を扱っているトンジュです。保衛部長の息子なんか誰もタッチできないですね。
宋允復 制裁に関しては、中国から重油がパイプラインで来ています。そのメーターを見ている人がいます。中国側が絞ったり開いたりするわけですが、特に絞っているという話はないですね。いくら中国が制裁してもロシアから入ってきます。近年ナホトカのガス、石油のパイプラインはもう終わっていて、貨物列車で入ってくる。今アメリカもセカンダリー・サンクションだとか、石油の仕入れ先をよく見なければいけないと言っていますが、そこまで絞り上げることはなかなかできないだろうと思います。中東の産油国からも北朝鮮は未だに仕入れていると言われます。