緊迫する米朝関係と拉致問題?東京連続集会97全報告
◆だまされたと知ったブッシュ政権が圧力をかけた
西岡(救う会会長、麗澤大学客員教授)
そのブッシュ政権が、アメリカをだまして北朝鮮が核・ミサイル開発を続けている証拠をつかんでしまった。北朝鮮はアメリカからただで重油をもらいながら、核・ミサイル開発を続けていたという確実な証拠を怒っているブッシュがつかんだ、というのが2002年1月です。だから「悪の枢軸」演説になったのです。
アメリカが北朝鮮を爆撃するかもしれない危機がもう一度来た。それが2002年です。その時北朝鮮は日本に接近してきた。2001年の秋から、田中均局長は北朝鮮と裏交渉を始めたと言っています。ほぼ1年かけて裏交渉をした。その秋というのは米軍がパキスタンに入った時です。
金正日からすると、ついにばれてしまった。濡れ衣だったら証明すればいいけれど、本当にやっていたわけです。それもアメリカをだまして。アメリカから重油をもらいながら、アメリカまで届く核・ミサイル開発を続けていた決定的証拠を激怒しているブッシュがつかんだ。
イラクはアメリカをだましてはいなかった。化学兵器を持っていたかどうかが問題になりましたが、アメリカから援助はもらっていなかった。金正日は、核をやめるという約束で援助をもらっていながら、やっていた。それがばれたという状況だから日本に接近してきたんです。
そして拉致を認め5人を返すという譲歩をした。彼らには、彼らなりの必要があったのです。その時、日本外交が拉致被害者全員を取り戻すことを最優先にしていれば、紙一枚で「5人生存8人死亡、それ以外はいない」と言った時、「証拠を出してください」と、にやっと笑って言えば、北は困っていたんですからもう少しの譲歩を勝ち取ることができたかもしれない。
しかし、国交正常化を優先してしまったためにそれができなかった。我々家族会・救う会に世論がついて国交正常化がなかなか進まなかった。アメリカがそれを見て、家族会・救う会は小泉政権の対北援助を止めた友軍だと思った。だから私たちがアメリカに行った時に、待遇がよかった。
アメリカはアメリカで、自分の国益のために北朝鮮の核開発を止める。日本から100億ドルという多額の資金が入ることを防いだのは拉致問題だ、と。だから「拉致はテロだ」ということも言い始めた。
こちらもアメリカがそう思っていることは分かっていたが、アメリカをこちらに巻き込んだ方がいいから「拉致はテロだ」と、「アメリカはテロとの戦争をしているのだから一緒に戦え」と言ったわけです。
でも過去2回北朝鮮は譲歩した。クリントン政権が爆撃を準備し、日本の警察が朝鮮総連資金を止めようとした時が1回。そして2002年、ブッシュ政権がテロをターゲットに、金正日政権をターゲットにした時、譲歩したんです。
彼らは、確かに反撃する能力を持っています。ソウルを火の海にできるでしょう。しかし絶対金正恩は死ぬんです。アメリカは金正恩を殺す能力を持っています。
こちらが民主国家だから国民の犠牲に耐えられないだろうと向こうは思って、脅してくるだけで、戦力で言えばアメリカの方が絶対強いわけです。独裁者は自分の命が絶対大切ですから、自分の命が危ないと思った時、自分の独裁が資金がなくなって続かないと思った時だけ譲歩してくる。