緊迫する米朝関係と拉致問題?東京連続集会97全報告
◆対ロシア、イラン、北朝鮮制裁へ?米議会
島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)
アメリカが他の国と比べて圧倒的な力を持っているのは軍事力と金融力です。この二つを使えば、アメリカは単独でテロ国家を倒すことができる。従って北朝鮮との関係が緊迫化してきて、軍事力と金融力の行使という話が前面に出てくるのは当然です。
日本の国会の惨状について西岡さんから話がありましたが、アメリカでもいわゆる「ロシアゲート」をめぐって実体のない話を政争の観点から色々やっています。
同時に、アメリカは1週間前、対ロシア、イラン、北朝鮮制裁、この3か国に対する制裁を合わせた法案が下院で通りました。新たに付け加えられたポイントは、北朝鮮の奴隷労働力を使って作られた製品は一切輸入を認めないこと、また北朝鮮の奴隷労働を使っている企業に様々な制裁をかけることです。
これが入った理由はロシアをにらんでのことです。だから対ロシア政策にも同じ法案でそれが盛り込まれたわけです。
西岡 上院はどうですか。
島田 上院では、対ロシア、対イランについては同じような法案が通っているんですが、下院が対北朝鮮を付け加えてきたので上院もほぼ同じような内容の法案に作り直して通す。最終的には上下両院の、日本風に言うと両院協議会ですり合わせて一本化する作業になります。
上院ではご存知のマルコ・ルビオ議員が対北朝鮮制裁法案をまとめて出しています。そこでも北朝鮮の奴隷労働を取り締まるのが柱です。
日本では、安倍政権がロシアとの関係を良好に保っていきたいという発想ですが、北朝鮮の万景峰号をロシアに入れるとか、ロシアが今後北朝鮮の奴隷労働をもっと受け入れる契約を結びましたが、そういうことに関して、日本もロシアに対して、そういうことを進めるんだったら日本との経済協力は断念してもらわなければいけないよというくらいのことは言うべきだと思います。
それを全然言っていない。私は安倍政権を基本的には支持しますが、この点は大きな問題点の一つと思います。
アメリカは特にロシア、そして中国をにらんで「奴隷労働」を使う企業に対する制裁を具体的に盛り込んできているわけです。