救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

緊迫する米朝関係と拉致問題?東京連続集会97全報告



◆北朝鮮は中国を味方だと思っていない

西岡力(救う会会長、麗澤大学客員教授)
 先ほど私はアメリカの金融制裁をするかどうか、チャイナ・バンクまでやるかどうか。その後軍事制裁するかどうかという話をしましたが、金融制裁と軍事制裁の間に、レジーム・チェンジをしかけるというのがあります。金正恩政権を何らかの形で倒すという秘密の、これは表向き言えないことですが、そういうミッションもある。
 これはなかなか100%というわけにはいかないでしょうから難しい。北朝鮮はそれをものすごく警戒している。中国は味方だと思っていません。中国の専門家の人たちは、トランプは習近平にだまされているとずっと言っているわけですが、私は、北朝鮮内部の話を聞くと、中朝は本当に悪い。
 金正恩は、去年1月に核実験をしました。その後習近平が怒って、国連の制裁決議に反対しなかった時、「上海と北京に一発ずつ核を落としてやれ」と言ったという話を聞いていました。本当かなと思ったんですが、「デーリーNK」という民間の北朝鮮専門の通信社が、北朝鮮の内部で幹部を集めて行われている講演資料を入手して、それを公開しました。
 「産経新聞」が一部書きましたが、「核の暴風で中国の内政干渉を爆殺せよ」というタイトルで、国内で幹部たちに講演をしていた。そして去年の5月には「労働新聞」が初めて、中国を名指しでけしからんと批判した。今年になってから名指しの批判が増えています。
 金正男暗殺も、金正男を中国が使うのではないか、あるいはそこにアメリカがかんでいるのではないか、と。マレーシアで金正男氏はアメリカの情報関係者と会っていたという情報を、「朝日新聞」のマレーシア支局の特派員が書いた。多分ファクトは正しいんでしょう。
 金正男は北朝鮮の国内ではほとんど影響力がないんです。彼のお母さんは人妻の有名な映画俳優です。彼女が結婚していることはみんな知っていた。それを金正日がとってしまった。ですから絶対公開できない。公開したら有名な映画俳優をとったことが知られますから。だから金正男の存在自体が秘密だったのです。
 それを知っていて、他人に言ったというだけで政治犯収容所に入れられるというような人です。金正日が弟の金平一に対してライバル心を持ったのとは全然違うんです。金平一は、一時期金日成が金正日より可愛がっていた。金平一のお母さん、金聖愛が金日成の横にいて、「うちの息子を宜しく」と言っていた。金正日はお母さんが早く死んでいて、継母を「お母さん」と呼ばないで、仲が悪くて、学校に行く時も車に乗らないで歩いて通っていた。
 その不遇だった金正日のところに付いていたのが、崔龍海と呉克烈だから、二人は金正日政権になって可愛がられていたわけです。一時みんな金平一の方に付いたわけで、金平一派がたくさんいた。そういう人たちが収容所に入れられたりしました。
 しかし、金正男派はほとんどいないんです。そもそも存在が知られていないんですから。それなのに恐れて殺した。それは中国の影を見たからです。張真晟という御用詩人と言われて本を出した統一戦線部の元幹部がいます。ここに何回か来てもらいました。張真晟は金正男に平壌で会ったことがある。
 直接、金正男の口から、「改革開放をやらなくちゃいけないんだ」、「これから俺は親父から経済を任されてやるんだ」という話を聞いています。しかし一緒にやろうとした人間が保衛部につかまったりして、彼は父親から怒られた。「改革開放をやるというのは、一を知って二を知らない。経済はそれでいいかもしれないが、政治はそれではもたない」と怒られたそうです。
 中国からすると、改革開放をやって金正日と一定の緊張関係があった長男が中国にいる。それを政権を交代させるとき、使いやすい駒として持っている。それを見張っていたらアメリカとも接触しているということになったので、殺すことになったわけです。
 自分がレジーム・チェンジの対象になっているのだから。彼は自分のことを本当に考えるんです。今年の4月、テレビ等が色々言っていた時に、「斬首作戦」という言葉が出ました。本当はテレビで言っていたのとは意味が違うんですが、とにかく「斬首作戦」という言葉が出たことに金正恩は大変神経を使いました。
 もしその命令が下ったら、報復をするということで、この4月、まだ核は完成していないので、化学弾頭で報復をする。それからテロをする。韓国、日本と在外の米軍基地でやる準備をした。自分に手をつけたらやるぞと。そういう中で中国とアメリカが組んで自分を倒しにくるのではないかと非常に恐れている。
 そういう緊張関係があるからこそ、アメリカまで届く核・ミサイルを持ってから話し合いをしたいと思っている。従って、ゲーツが言うようなところが落としどころになるかどうか。そもそもアメリカの大多数の国民が納得できるような検証ができるのかどうか。なかなか難しいとなると、まだチキン・レースは続くと見た方がいいのではないか。

  
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