緊迫する米朝関係と拉致問題?東京連続集会97全報告
◆「救出をアメリカにお願いしている」では無責任
島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)
仮に、ボルトン氏的な意見が通ってアメリカが軍事攻撃する。北朝鮮の中にまだ抵抗勢力が残っていて、金正恩がビン・ラディンのように隠れ家に潜んでいるかもしれない。
そういう場合に入って行って、実際につぶしにかかるのはアメリカの特殊部隊。ビン・ラディンを殺害したのは海軍の特殊部隊ネイビー・シールズのチーム6でした。これはネイビー・シールズの中でも特殊な訓練を受け、テロ襲撃専門班です。
かつてイランで、アメリカ大使館員が人質にされた事件があり、ジミー・カーター政権の時です。カーターは救出作戦をやりますが、全然訓練もしていなかったということで、砂漠の砂嵐に襲われてアメリカ軍のヘリコプター同士が激突したり大失敗に終わりました。
それを踏まえて、救出に特化したような襲撃部隊をつくらなければいけないということで、チーム6を作りました。当時ソ連から見て、そういう部隊がたくさんあると思わせるために6という名前を付けたそうですが、実際は1つしかない。
一番問題は、現在チーム6は通訳も雇っているんですが、ほとんどがアラビア語通訳です。現在最大のターゲットはイスラムのテロリズムですから、チーム6に日本語の通訳なんか、いるかいないかという感じです。
チーム6が北朝鮮に入っていったとして、ある場所を襲撃する。仮に、拉致被害者が「自分たちは日本人なんだ」と日本語で声を上げても分からないという状況になるわけです。
だからやはり日本も、「憲法上北朝鮮に入っていけないです」と言っていると、言葉が通じない上に拉致被害者が見殺しにされてしまうことも考えられる。アメリカに対して、日本語の通訳を増やせとか、そんなことを言っても、「お前ら自分でやれ」となります。
従って、安倍さんが国会答弁しているような、「拉致被害者の救出はアメリカに頼んでやってもらいます」というのは極めて無責任だと言わざるをえない。やはり、きちんと日本語ができる人が何らかの形で特殊部隊に参加できるように、日本側から人を入れるとか、そういう枠組みを作らないと、とんでもないことになります。