緊迫する米朝関係と拉致問題?東京連続集会97全報告
◆拉致担当の駐在武官を韓国に
西岡力(救う会会長、麗澤大学客員教授)
あまり種を明かしてもよくないし、できないこともたくさんあるんですが、例えばの話です。ソウルの日本大使館には武官が陸海空の3人います。私は4人にしましょうと言いました。定員を増やせばできることです。米韓軍が北進すれば、その地域は韓国になるんです。
韓国に駐在する武官はその地域に行くことができる。武官ですから軍事的情報を交換することができる。アメリカとの間は同盟国ですからできます。
政府は今拉致被害者、特定失踪者のDNAを持っています。認定被害者については、12人しかいませんから、私は誰ですと言えば分るでしょうが、それ以外の人たちもたくさんいる可能性があるので、そういう情報を端末等のようなもので持ていて、「私はこれです」と言った時、確認できる。
北朝鮮の工作員は日本語ができる人がいますから、こう言ったら撃ってこないだろうと日本人になりすまして、向こうから撃ってくるということもあるかもしれない。
様々なことがあるので、色々なことを想定しながら、あまり公開で話をしない方がいいんですが、静かに、しかし色々なことを想定してシミュレーションしてもらわなければ困る。これは第一次安倍政権の時以来ずっと申し入れしています。
こちらが、そういうことをしてくれと言うためにもまず、集団的自衛権の行使はできないと言っていてはだめ。人に物を頼むとか、作戦の中に入れてくれと頼む前に、まず米韓軍は日本の自衛隊に何をしてほしいのか。米韓軍の被害が少なくなる方に日本の自衛隊が貢献したという実績を作って、それは在日米軍基地を徹底的に守ることだと思います。有事になったら北朝鮮は工作員を入れて、在日米軍基地を攻撃してきますから。
普天間や嘉手納や三沢の滑走路が使えなくなるかならないかは、戦況に重大な影響を与えます。朝鮮戦争の時も、日本共産党に入っていた在日共産党のの部隊が米軍基地を襲う火炎瓶闘争をやりました。祖国で戦っている同朋を守るためだと、かなり過激なことをやりました。同じことが起きる可能性があります。
それを徹底的に防ぐ。そういうことをやった上で、日米間の枠組みの中で何ができるか、何をこちらが要求するのか。その時に拉致を国政の最優先課題としているという前提でやってほしいと言いつけています。
第一次政権以降、「色々なシミュレーションをしています」ということだけ聞いていますが、全部は言えないと。言ってもらう必要もないと思っていますが。2002年型で安全に、緊張感のなかった時に、金正恩が安倍訪朝というカードを切って、緊張をそらすというのが一番安全に取り戻せることで、我々にとってはそれを今目標としていますが、すべてのことが我々の思う通りに進むわけではない。
拉致救出の三条件は、日本の中に全員救出の体制を作ること、北朝鮮が困って日本に接近してくること、この二つが起きて交渉で取り戻すこと。しかし、その前に北朝鮮の政権が崩壊したり、内乱状態になるかもしれない。その時、安全に取り戻せる準備を秘密にしておくことです。これが3つ目の条件です。この15年間ずっと言ってきたわけですが、その大きな枠組みは変わっていないと思います。
今まさにチキン・レースが続いていて、アメリカの中で今島田さんが指摘したように、アメリカにおける北朝鮮政策の議論は、両極化しながら先鋭化している。ゲーツ氏のような国防長官やCIAの要職をやった人が、「アメリカまで届く核さえやめればいい」という秘密交渉をしようと言っている。
一方、もしかしたら安保補佐官になるかもしれないボルトン氏は、「すぐにバンク・オブ・チャイナにも制裁をしろ」と言い、「軍事行動以外ない」とも言っている。その中間で、ウォールストリート・ジャーナル等は、「中国にまかせて金正恩政権を倒せばいい」と。