緊迫する米朝関係と拉致問題?東京連続集会97全報告
◆アメリカは軍事攻撃を考えている
島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)
今問題になっているサード(THAAD)、つまり最新の迎撃ミサイルを韓国に配備することについて、レーダーが中国の基地などをカバーするということで中国が非常に反対して、韓国に色々嫌がらせをしている。ロシアも同様の理由で反対しているという状況です。
文在寅訪米の前に、アメリカの超党派の上院議員団が韓国に行っています。共和党側はコリー・ガードナーという若手の上院議員ですが、上院外交委員会東アジア太平洋小委員長で北朝鮮問題を最も発信しており、徹底した制裁を中国にかけろと発信している人です。民主党の方はディック・ダービンという民主党上院のナンバーツーです。二人とも韓国での議論を、帰ってきてから非常に怒っています。
つまりサード・ミサイルは在韓米軍兵士の命を守るためのものでもある。ところがその配備を、文在寅がなんだかんだと言って遅らせている。米軍兵士の命が守れないんだったらもう引くしかないし、サードをずるずる伸ばすのだったらお金も予算に組み込まないと、共和党、民主党両方の有力議員が言っている。
ある意味で、議会がそういう強い立場に出ているので、トランプ政権としては敢えて強いことを文在寅に言う必要もなくなったということもあるでしょうし、また先ほど話したマクマスター安保補佐官は、韓国の新政権とあまりもめない方がいいとアドバイスをしたらしい。
やはりサード配備をずるずると遅らせるというのであれば、米軍兵士を撤退させるいい理由にもなるということで、例えばジョン・ボルトン氏などは、「釜山にさえ拠点があればあとは全部引いた方が作戦を展開しやすい」と言っています。
従ってアメリカ側としては、文在寅の対応を見つつ、北に接近するのだったらいいよ、と。アメリカはどんどん引いて、アメリカから先制攻撃をいつでもできる体制を作る。それが政権及び議会のかなりのコンセンサスになっているという感じです。