今年中に全拉致被害者の救出を!国民大集会全報告
◆狭い道ではあるが、道は開ける
西岡力(救う会会長)
今日は感激しました。私は、台風が来るということで、どれだけ集まってくださるかなと、内の家族だけはどうしても来てくれと頼んでいたのですが、この雨の中、そしてどんな雨になるか分からない中、全国からこんなにたくさんの人たちが来てくださった。
我々は、暴風の中でも拉致被害者救出の旗を絶対に離さないと、今年は色々なところで言ってきましたが、皆さんもその気持ちなんだなあと、本当にありがとうございます(拍手)。
言うまでもなく、暴風が吹いています。核実験がありました。実は私は核実験があった時、ソウルにいました。その前日、北朝鮮の軍につながるラインからこういう話を聞きました。
この夏に金正恩から、「核実験をしろ、ミサイルをどんどん撃て、軍事的緊張を最高度に高めろ。そしてトランプと最終談判をする」という指令が下ったとの話を聞きました。
その次の日に核実験があった。そしてまたミサイルが撃たれました。この背景には、2つあると思っています。
1つは技術がかなり進んだ。広島型の爆弾の10倍以上の威力がありました。あともう少しで、アメリカまで届く核・ミサイルが完成するところまできている。そういう点では彼らは自信を持っている。
しかし、もう一方で、彼らは苦しい。計画経済の方は完全に破たんしています。国営工場は今、労働者たちが資材を売って食べている。鉄工所では、なたや鎌を作っている。それを闇市に売って食べているそうです。
ただ動いているのは、新興富裕層という金持ちが、炉を1個買って、「鉄筋を作ってくれ」、「マンションは高く売れる」。計画経済の外の経済は動いています。だから平壌が明るく見えていますが、これは金正恩がやっていることの外にある。
そして金正恩を動かしているのは、39号室という所が管理する統治資金です。その統治資金を目標に、我々はずっと制裁をしてきました。日本から多額の金が行っていましたが、今はほぼ止まりました。韓国からかなりの金が行っていましたが、それも止まりました。
そして今回の国連の制裁で、これは8月の制裁とセットになっていますが、8月の制裁と9月の制裁を足すと、去年の貿易による外貨収入の9割くらいがなくなります。収入の9割が来年なくなるんです。また、今回の制裁で、海外の労働者の新規契約が停止になりました。契約はだいたい1年か2年です。2年後には年間5億ドルの収入もなくなります。
日本や韓国からの、裏からの金がなくなり、表の貿易の金、出稼ぎの金もなくなる。だから最終談判をしようとしているのです。これはチャンスであり、ピンチでもあります。
彼らが核・ミサイルを持ってしまうかもしれない。そこまで行くとピンチですが、しかし制裁が効いてきたということではチャンスでもあります。決議案を見てください。「北朝鮮は外貨が枯渇し強い軍事圧力がかかったときにだけ譲歩する」とあります。核・ミサイルは完成直前になればなるほど、アメリカから軍事的圧力がかかります。
そしてさっき申し上げた通り、39号室資金が枯渇しています。海外の外交官の給料が平壌から来ないで、「自分で食べろ」と。それだけでなく、「現金を上納しろ」という命令が下っています。だからどんどん外交官が亡命しているんです。
今申し上げた39号室という一番忠誠心の高い人たちの部署から3人亡命しました。日本円で数億円現金を持ち逃げして亡命しています。彼らも足元が危うくなっている。だから最後の勝負をかけてきた。その時、拉致も議題として上げることができるか。最後の勝負になりました。
過去に2回ありました。94年、クリントン政権が爆撃しようとした時、金日成が出てきて、「待ってくれ」と言って、寧辺の5000kwの原子炉を止めました。そしたらアメリカは「撃ち方やめ」で、制裁を解いてしまった。そして村山政権に対してアメリカから10億ドルの請求書が来ました。軽水炉を作ってやると言った。村山政権は「出します」と言って、実際5億ドル出してしまった。
なぜその時、日本がお金を出すなら拉致も条件だと言わなかったのか(拍手)。彼らは金がなくなったり、圧力があったら譲歩するんです。その時、こちらが条件に出さなければ、進まないんです。
2回目が15年前です。彼らは「核を止める」と言いながら、パキスタンから濃縮ウラニウムの技術を導入して、アメリカをだまして50万トンの重油をもらい続けながら、核開発を続けていたということを、ブッシュ大統領がつかんだのが、2002年1月です。
だから「悪の枢軸」演説になったんです。それで怖くなって小泉総理を平壌に呼んだ。残念ながらその時日本側が出した条件は、「拉致被害者の消息を出してくれ」です。だから紙が二枚来ただけで、嘘の消息だったんです。
なぜ被害者を返せと言わなかったのか。被害者を返さなければ小泉総理を平壌に行かせないと言わなかったのか。こちらが条件を下げたら、向こうが追い込まれたといっても、成果が出ないんです。
今94年、2002年以上の米朝対立で危機が来ています。その中で絶対にこちらは条件を下げてはならない。先ほど、総理も加藤大臣も、「そんなことは当たり前だ。日本は絶対に条件を下げない。被害者全員帰国という条件は絶対に譲れない」という言葉をいただきました。
今、激しい嵐の中にいます。しかし我々が必死になって、「全被害者の帰国なしには日本は動かないんだ」、「国際的な圧力は弱まらないんだ」ということを叫び続ければ、狭い道ではあるかもしれないが、道は開ける。
本当の正念場です。この旗が飛んでいってしまったら、助けられないかもしれない。しかしこれを握って、最後まで行けば、道は開ける。皆さんもそう思ってくださったから、この嵐の中、ここに集まってくださったんだなあと思います(拍手)。
ここから叫びましょう。日本人は絶対に、日本人を見捨てない。全員助けるんだと(拍手)。これからどんな嵐が来るか分かりませんが、しかしここに集まった皆さん、全国の同志とともに、認定未認定に関わらずすべての被害者を取り戻すまで、私たちの戦いは終わりません。一緒に頑張りましょう(拍手)。
櫻井 西岡さんありがとうございました。ではここで、笠浩史さん、拉致議連事務局長代理から決議案を朗読していただきます。