家族会・救う会・拉致議連 訪米報告-東京連続集会98
◆トランプ発言で対話ムードが萌芽段階でつぶされた
島田洋一(救う会副会長)
我々が今回会ったアメリカ政府関係者の中で、最も重要人物と言えるのは今お二人の話にも出ましたが、マット・ポッティンジャー・NSCアジア上級部長だったと思います。
彼の話の中で私が最も印象に残っていることは、拓也さんも触れられましたが、「北朝鮮と公的な協議をしてはならない」、「話し合いをしてはならない」ということを彼が明確に言っていたことです。
「なぜならば、話し合いになると必ず、雰囲気を改善するために制裁を解除すべきだとか言う連中が出てくる。従って今は徹底的に圧力を強めるべきで、話し合いに入ってはならない」と。
これは日本でもアメリカでも、「とにかく話し合いをすべき」ときれいごとを言う人が多いんですが、しっかり彼は本音を語ってくれたと思います。これは正しい発想だと思います。
その関連で、トランプ大統領が金正恩のことをぼろくそに言ったり、「ロケットマン」と言ったりした。ロケットマンというのは、トランプ氏の言葉づかいの基準から言えば、そんなにひどい言い方ではないと思うんですが。
アメリカの議員で、「クレージー ファット ボーイ」という人もいますから、むしろ押さえた表現かなと思いますが、それに対して金正恩が、感情的な反論をしてきたり、非常に雰囲気が悪くなっています。これはトランプ氏がどこまで意識しているか知りませんが、私は戦略的に正しい行動だと思います。
トランプ氏の、ああいう言動によって、対話ムードが萌芽段階でつぶされているわけですから、結構な話です。制裁を強めるという本筋の事柄を進められます。
安倍首相もこの点では全く同じように、「今は対話の時ではない。制裁を強めるべきだ」と。そして安倍首相は、「すべてのオプションがテーブルの上にある」というトランプ大統領の姿勢を、「全面的に評価する」という言い方をします。元アメリカの国連大使でメディアにもよく出てくるジョン・ボルトンという人が、「先進国の首脳の中で安倍首相だけが事実上軍事オプションにも賛成だと言っている。これはやはり安倍が戦略的にものが分かっているからだ」と高く評価していました。