家族会・救う会・拉致議連 訪米報告-東京連続集会98
◆金正恩氏が除去されない限り核・ミサイル開発は続く
西岡力(救う会会長)
ありがとうございました。私から少し質問をして話を進めたいと思います。
今、島田さんも言及しましたが、核・ミサイル問題はチキン・レースなんですね。同じ道路の反対側から、同じ車線で車が来ている。どちらかがブレーキをかけないと衝突するというレースが続いている。
金正恩氏は核開発をやめない。憲法にも書きました。労働党の大会をして、労働党の政策としても発表しました。金正男氏や金日成氏は嘘をついて、やめると言ったこともあった。金正恩氏はそういうこともしない。大変硬直しています。表向きにやめると言ったことは一度もありません。
あの国は独裁国家ですから、手続きというのは二の次かもしれませんが、手続きから言うと、労働党大会をもう一回開き、最高人民会議を開いて、労働党の政策と憲法を改正しないと核開発をやめられないというところまで明確化しています。
金正恩氏と核はほぼイコールで、彼が除去されない限り核・ミサイル開発は続く。そのゴールはアメリカの本土を攻撃できるミサイルです。
一方トランプ政権は、トランプ政権でなくても、アメリカの安全保障を第一に考えますから、アメリカの本土まで届く核・ミサイルをアジアの独裁国が持とうとすることは許せない。それで、「すべての手段をテーブルの上に置いている」と言っているわけです。
その「すべての手段」の中には、今島田さんが言及した軍事的手段も入っている。トランプ大統領は国連の演説で、「北朝鮮による核・ミサイル開発は世界全体への脅威である」と言っています。「犯罪集団が核・ミサイルを保有することは、世界全体の不利益である」と。「アメリカには力も忍耐力もあるが、自国または同盟国を守ることが強制されれば、北朝鮮を完全に破壊する以外選択肢がなくなる」とも言っています。
自国または同盟国の安全に関わることが起きるなら、完全に破壊するということまで言っている。まさにブレーキを踏んでいないわけです。
私がこう言ったら、島田さんが、「西岡の言い方はちょっと間違っている」と言うんですね。「チキン・レースだけども、片方はダンプトラックで、片方はバイクだ。ぶつかってもダンプは死なない」と。
しかし、バイクが今、バズーカ砲を持とうとしている。持たせてしまったらダンプにも被害があるかもしれない。しかし、持つ前はぶつかったら向こうはおしまいで、こっちはバンパーがへこむぐらいだ。しかし、持つかもしれないところまで今来ている。
そういう中で、拉致問題を我々が固有の問題として抱えている。もちろんバズーカはアメリカだけを狙っているのではなく、日本も狙っていますから許すことは絶対にできない。しかし、バズーカを持とうとしているオートバイに拉致被害者が積まれている。それをどうやって安全に、全員取り戻すのかという、大変困難な、厳しい課題の前に我々はいるわけです。
そこでまず拓也さんにお伺いしたいのですが、ブッシュ政権は当初「悪の枢軸」と言って、強い軍事的圧力をかけて、今と同じように、テロとの戦争のターゲットとして北朝鮮の大量破壊兵器を取り上げるという圧力までかけていたんですが、最終的に話し合いに転じて、テロ支援国指定を解除して、北朝鮮が核・ミサイルをやめると言って、煙突一つ壊すショーをしたらだまされて、圧力を弱めてしまったという経緯がありました。
その後、オバマ政権はほとんど何もしなかった。ブッシュ政権時代から何回も訪米して、ブッシュ大統領にお会いになり、オバマ大統領にもお会いになり、今回はNSCのポッテンジャーさんに会った。そして大統領としては、トランプ大統領が今回初めて国連で演説をしてくれました。
専門家ではないですから分析するのは難しいかもしれませんが、ブッシュ政権の本気度とトランプ政権の本気度についてですね。ブッシュ大統領には会えたが解決できなかったと話をされていましたが、今回行ってみて、緊張の度合いは今の方が高まっていると思いますが、何かブッシュ政権、オバマ政権と何か違いがあるとすればどんなところか、あるいは共通点があるとすればどんなところかについて、家族の観点から話してください。