家族会・救う会・拉致議連 訪米報告-東京連続集会98
◆自衛隊等が救出する方法を具体的に考えるべき
島田洋一(救う会副会長)
拉致疑惑のあるアメリカの青年、デビッド・スネドンさんの家族と食事した時、私が聞いたんですが、例の北朝鮮に拘束されて、おそらくひどい拷問を受けて死亡したオットー・ウォームビア青年がいます。
「ウォームビア家とスネドン家の接触はありますか」と聞いたところ、間に立って接触させようとしてくれる人もいるんだけど、ウォームビア家の方が、「今は誰とも会いたくない」ということでまだ接触がないという話でした。
しかしその後、つい最近になって、ウォームビア家の両親が「フォックスニュース」のインタビューに答えて、「息子は本当にひどい拷問を受けていた。なぜ北朝鮮がテロ支援国に指定されないのか理解できない」というような発信をされて、それを受けてトランプ大統領もすぐ、「オットー・ウォームビアはすさまじい拷問を受けていた。許せない」とツイッターに出していました。
アメリカに何を期待するかですが、先ほど山谷先生も紹介されたように、アメリカの中では結構地位も名声もある人たちの中に、「やっぱり話し合いだ」とか、「北朝鮮と妥協するしかない」とか、そういう人たちが結構いるわけです。
その中で私は、トランプ氏の存在というのは、北朝鮮政策に関する限り、非常に貴重だと思います。彼は最近も、レックス・ティラーソン国務長官に対して、「レックス、北朝鮮との交渉は時間の無駄だからやめろ」と言っていました。これは極めて正しい発言で、単に時間の無駄だけではなく、制裁を解除するような話になったりしてマイナスになると思うんです。
従って、トランプ氏の、軍事オプションも含めてどんどん圧力を強める姿勢を、日本としても励ましていくということが必要だと思います。トランプ氏がやることなすことすべて批判しないとインテリと思われないんじゃないかというような大学教員等が多いんですが、私は、トランプ氏が今の姿勢を崩さずにいってくれと安倍首相は言っておられると思います。その安倍さんの政治姿勢は正しいと思います。
そして、混乱状態で日本人拉致被害者を助けるという時に、アメリカ軍にお願いするという姿勢では極めて不十分です。漏れ聞こえてくるところでは、トランプ氏が軍事オプションをとるにしても、基本的に海空軍力で、徹底的に軍事施設と指令系統中枢を破壊する。破壊した後は、「そもそも北朝鮮というのは韓国の憲法では韓国の一部でしょう。あとは韓国が何とかしろ」という発想が基本的にあるとも言われます。
つまり、アメリカ軍が北朝鮮地域を占領し、治安を維持してくれるのなら、米軍が拉致被害者を保護してくれるでしょうが、多分トランプ政権はそういうことはしないのじゃないでしょうか。
そうしたら、やはり日本の自衛隊等が出て行って救出に当たる準備を今からやっておかないと、海空軍力で攻撃するとなれば北朝鮮が一番寒い時期、色々なものが凍り付いて北朝鮮軍が動きにくい1月終わりから2月にかけての時期が、一番たたくのにはいいという議論をする人も、アメリカの軍事評論家には何人かいます。
ちょうど平昌オリンピックの時期と重なるかもしれませんが、そういうスケジュールで動くことも頭に入れておかないといけないと思います。そうなるとあと4か月しか準備期間がない。
やはり、「憲法違反だからできない」等、わけの分からないことを言うのではなく、今の憲法で自衛隊を持っているわけですから、解釈を変えてきちんと説明すべきです。私は選挙の争点にすべきだと思います。
どうやって拉致被害者を救出するのか。自民党と野党のどちらの案がいいのか、具体的な争点として議論してもらいたいと思っています。