家族会・救う会・拉致議連 訪米報告-東京連続集会98
◆憲法に国家主権の観点が抜けている
山谷えり子(自民党拉致問題対策本部長、元拉致問題担当大臣)
私は今日、池袋で拉致問題解決を訴えましたが、その時に憲法改正も話しました。日本の憲法は占領時代に、占領軍によって草案が作られ成立したものです。ですから、国民主権も基本的人権ももちろん大事ですが、国家主権という視点が圧倒的に欠けているんですね。
まず前文では、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我らが安全と生存を保持しようと決意した」ということで、各国はすべて公正と信義に厚い国々だから自衛隊も持ってはいけないというか、自分の国を守るための力についての規定がなかったわけです。
しかし、時代の流れの中で自衛隊が発足したわけですが、「でも自衛隊は憲法違反だ」という憲法学者が7割、8割もいるんです。9割の国民は自衛隊の存在を認めて感謝しているんです。
立憲主義というならば、法治国家であるならば、この矛盾をきちんとした憲法のもとで主権国家としてのたたずまいを、普通の国なみにして、国民、国家を守ることをまず考えるのが根本だと思っています。国家主権あっての国民主権で、一人ひとりが守られるわけです。
イラン・イラク戦争の時に、サダム・フセインが48時間以内に出て行かなければ爆撃するということで、日本人も脱出したかったんですが自衛隊はもちろん迎えにいけません。民間航空会社は、そんな危険なところに行きたくないということで、結局トルコが日本人を救出してくれて送ってくださったんですね。
じゃあその時から情勢は変わっているだろうか。基本的な所は変わっていないと思います。朝鮮半島有事の際は、もちろん自衛隊が邦人救出するというのは当たり前だと思いますが、今の憲法では残念ながらそれができないのです。
ですから、米韓との連携をつなげながら(やるしかないのですが)、ただ平和安全法制ができたので、自衛隊の活動範囲は広がりましたし、訓練・装備も上げていくことが今できています。そういう意味では以前よりはいい状態になっています。
私たちは、平和安全法制ができる前は、拉致議連として自然災害も含めて、朝鮮半島有事の際は緊急時に自衛隊を出せないかと、特措法を作り、実際に条文もできて韓国にも説明に行ったことがあるんです。しかし、国内の各党の賛同が得られず、議員立法として提出することができませんでした。
平和安全法制が成立したのだからさらにそれをバージョンアップすべきではないかという声が、自民党の拉致対策本部の会議を開くと、色々な議員さんがおっしゃっています。