家族会・救う会・拉致議連 訪米報告-東京連続集会98
◆「全被害者一括帰国」を北朝鮮が提起した時だけ交渉に応じるべき
西岡力(救う会会長)
しかし、今蓮池薫さんはかなり活発な活動を始めました。彼はこう言っているんです。15年前自分たちが帰れたということを、そして残った人たちが自分は「死んだ」と言われた、あるいは自分は「拉致されてない」と言われたということを知っている、と。北朝鮮の中で情報が伝わる。
そしてストックホルム合意で、もう一度日朝が拉致で話し合いを始めたことも知っている、と。あれは北朝鮮のニュースでもやりましたから。今回も「死んだ」と発表されてしまったら、めぐみさんなり、八重子さんなりは精神の安定が保てなくなる、と。自分たちは向こうにいて一番分かる、と。
だから今回のチャンスを逃してはいけないんだと薫さんは言うんですが、今回、何人かということで譲歩してはならないんです。全員一括帰国ということについて、絶対におろしてはならない。
これはもう外交問題ではないですから、犯罪ですから、人質事件が起きて、50人人質がいたとして30人助けたから警察署長は「よくやった」と言われるのか。20人死んでしまったら、「責任とれ」と言われるんです。
ストックホルム合意の直後に、テレビに解説者が出てきて、「小泉さんは5人取り戻した。安倍さんは6人以上じゃないと成功と言えませんね」と言ったので、私は一緒にテレビに出ていたので、机をひっくり返してやろうかと思いました。
全員です。残っていたらそれで責任を問われるんです。但し、日本政府の拉致解決の定義は3条件あります。第1条件は、「認定の有無に関わらず全被害者の安全確保と帰国」です。これは絶対譲れない。しかし、第2条件の真相究明、第3条件の実行犯の引き渡しは、時差があってもいい。同時でなくてもいい。そこは交渉してほしい。
しかし、全被害者の一括帰国、それも「認定の有無に関わらず」は絶対におろしてはならない。それを日本中の誰に聞いても同じことを言うという状況を作る。トランプ大統領が裏切ろうとしたら、「あなたは国連で言っただろうということまで日本は言いますよ」と。
その代り、できる限りの協力をしなければならない。多分嵐の中で様々なごまかしや工作もある、激しくなると思います。基本はこれは犯罪事件ですから全被害者を一括帰国させる、それ以外の話し合いには応じない。
金正恩が、「全被害者を一括帰国させる」と言うのであれば、我々は実質的協議と言っていますが、交渉をし、あなたたちが話してほしくない秘密について帰国した被害者が静かにしてもいいとか、止めている人道支援についても、本当に人道的に役立つという条件等様々な条件がありますが、人道支援は再開できる。
しかし、そのための話し合いは、まず向こう側が「「全被害者を返す」と意志表示をした時だけです。トランプ大統領も、今北朝鮮に対して話し合いの時期ではないと言っています。彼らが核保有国になると言っているからです。憲法に書いたからです。そして口で言っても守らないということがあるからです。
最低限、全被害者を返すと公開の席で向こうが言ってきた時だけ、それなら話し合いに応じましょうということです。安倍総理は国連の演説の最後に、「北朝鮮には資源もある。優秀な労働力もある。明るい未来を描きたいなら拉致被害者を全員返して核をやめなさい」と言ったわけです。
我々はその通りだと思います。「全員返しなさい。核・ミサイルはやめなさい」と。そういう話し合いには応じますよ、と。そういうことをしないのであったら、どんどん制裁が厳しくなりますよ、生きていけなくなりますよ、ということを今見せる段階です。
なぜなら彼らは「全員返す」と言っていない。「核・ミサイルをやめる」と言っていない。だから今は圧力をかける段階だということですが、苦しくなったら何かしてくるかもしれません。我々が「今年中に」と言っているから、話し合いのための話し合いをした方がいいという議論が出てくるかもしれない。
そんなことは全く求めていませんから、先ほど拓也さんが話しをされましたが、「家族としては心配だけれども、今この道しかない。日本と一緒に圧力をかけましょう」と。
みせかけの話し合いのための話し合いはしてほしくないというのが我々の考えで、今は圧力をかける時期だ。そして絶対ぶれない。ぶれないことの第1は拉致で言うと、全被害者の一括帰国です。「何人か」という話に絶対のってはいけない。
今北朝鮮は「何人か」も言っておらず、「残留日本人がみつかりました」というエサをまたまいてきていますが、まず犯罪被害者である拉致被害者の一括帰国が最優先だ。それをやらない限り、あなたたちの誠実さは試されない。その姿勢を変えてはならないことを強く確認したいと思います。
飯塚繁雄さんと本間勝さんが来てくださっていますので、ひとことお願いします。