トランプ大統領面会報告と緊迫する北朝鮮情勢-東京連続集会99
◆アメリカの戦争には国連の安保理決議と議会の決議が必要
西岡 力(救う会会長)
そのテロとの戦争の中で、イラクを叩いた時には、大義名分として国連の安保理事会の決議がされました。国連の安保理事会では、イラクが大量破壊兵器を持っている疑いがある。すべての手段を使ってそれを取り上げるべきだ、と。クエートに侵略したような侵略的な政権が大量破壊兵器を持って、実際クルド族に使っている。それは世界の平和に対する脅威だ、という決議でした。
そしてすべての手段の中には軍事的手段も入る。国連安保理事会が軍事的手段を使うことを許容した。だからアメリカが攻撃されてなくてもアメリカがイラクを攻撃した1つの根拠です。
もう1つ。アメリカの大統領はアメリカ軍の最高指揮者ですから、議会の同意がなくても戦争することはできるんですが、戦争では思わぬ被害が出たりしますから、政治的に言うと与野党が一致して大統領に、武力行使する権限を与える決議があることが望ましいんです。
イラク戦争ではその決議が上院、下院で通りました。与党だけでなく、野党も賛成する。アメリカは民主国家ですから、そういう手続きが必要です。金正恩が命令すればバズーカ砲をぶっぱなすことができますが、アメリカでは手続きが必要です。すぐに戦争にはならない。
国連安保理事会の決議とアメリカ議会の決議は、2つともまだない。特にトランプ政権は議会との関係があまりよくなくて、共和党の中でもトランプ氏と仲がよくない人がいる。民主党はもちろん、トランプに武力攻撃の権限を与えたら何をするか分からないと反対する。まだそこまで行ってない。
しかし、先ほど申し上げたように「火星14号」のロフテッド軌道での実験が2回成功し、広島の10倍の威力を持ってしまった。北朝鮮ではもう小型化されたと言っています。9月の核実験の直前に、ひょうたん型の核弾頭と称するものを金正恩が見て喜んでいる写真を出しました。あのひょうたん型は水爆の形です。
あれが本当に爆発したのならミサイルに積めるわけですが、まだ小型化は完成しておらず、見せたのはフェイク(模造品)で、大型の爆弾を爆発させたのではないかというのが有力です。惠谷治さんなどはそう言っています。
つまり12キロトンから160キロトンに急激に上がったわけです。水爆を作った国は一度大きな爆弾の実験をする。それを成功させてから小型化の実験をする。水爆の実験を一度も成功させてなくて、100キロトン級の爆発を成功させたから小型化というのはプロセスが飛んでいるわけです。北はそう発表しましたが、それが本当かどうかについては意見が分かれています。