トランプ大統領面会報告と緊迫する北朝鮮情勢-東京連続集会99
◆ほとんど輸出ができなくなった
西岡 力(救う会会長)
アメリカはまず、国連による経済制裁を主導した。安保理決議の「すべての手段を使って」というところまでいっていないのは、まだやるべきことがあるということで、経済制裁をかけている。
これまでの経済制裁はシンボル的な意味が強く、それほどダメージはなかったのですが、7月の2回のミサイル発射に対して8月に経済制裁がかかった。9月の核実験に対して1週間後に制裁をかけました。
この2つの制裁を合わせると、北朝鮮の2016年の輸出の合計約28億ドルのうち、23億ドルくらいがなくなる。石炭と鉄鉱石と、水産物と衣料品を北朝鮮から買うことを禁止しました。2016年にはそれらで23億ドルくらい稼いでいたが、もうその収入はなくなる。
北の貿易相手の9割は中国ですから、主として中国が買っていたので、中国やルールを守ればという前提ですが、今のところ守っているようです。その結果、北朝鮮では外貨収入の8割5分ぐらいがなくなる。
石油製品、ガソリンなどの輸入については、3割カット。アメリカは全面禁輸を求めたんですが、中国とロシアの反対で3割カットになった。一定の影響はある。ガソリンの闇市の値段が上がっています。
また海外に6万人くらいの労働者がいて5億ドル送金しています。外貨で給料を貰いますがそれはほとんど召し上げて内貨で払ったりしています。この労働者についても海外で雇うことを禁止したかったのですが、そこまではいかなくて、新規契約を禁止しました。
だいたい契約は2年くらいですから、あと2年経つと全部終わりになる。新規は受け入れないから、ほとんどなくなる。外貨収入を断つことを目的とした制裁は、じわじわと効いてくる。
それが効くまえにアメリカの本土まで届く核・ミサイルを持ちたいわけです。だからできる限りの核・ミサイル実験をしてきたわけです。核実験は去年から今年にかけて3回もやっている。制裁など関係なくどんどんやっているということですが、制裁が一定程度効いてくるだろうということです。
従って金正恩としては、実験をしなければアメリカまで届く物を持てませんから実験しなければならない。実験をすると、残っている石油の禁輸、海外労働者の全面帰国となる。それでも実験をすると、「すべての手段を使ってやめさせる」という決議が通るかもしれない。
その決議が通りとトランプ大統領は実際に軍事行動を行うための政治的負担がなくなる。実験をしないと完成しない。そういうにらみ合いになっている。