トランプ大統領面会報告と緊迫する北朝鮮情勢-東京連続集会99
◆中国にとって北朝鮮は必要でも金正恩は必要なのか
西岡 力(救う会会長)
中国は北朝鮮という国家は必要なんです。労働党の一党独裁政権も必要です。しかし、金正恩が必要かといえば、イエスかどうか分からない。逆に金正恩からすると、中国は自分を必要としていないのじゃないか、と。兄を使うのではないかと。まだ今年の2月ですよ、金正男が殺されたのは。
金正男は北朝鮮の中では全く影響力がないんです。彼のお母さんは人妻で子どもが二人いたのに、金正日が奪っちゃったのです。有名な映画俳優だったからみんな知っているわけです。結婚していたことも知っていたから、お母さんを公開できないわけです。従って金正男の存在自体がタブーで、金正男がいると言っただけで政治犯になって捕まったわけです。国内に勢力が全然いないわけです。
金正日の義弟の金平日は、金聖愛というお母さんが金日成の正夫人としていたから勢力があったんです。激しい権力争いをやって金正日が勝ったんですが、金正男は勢力争いをする勢力がないんです。
それなのになぜ殺されたのか。(金正恩は)中国が後ろにいると思ったし、また中国もカードとして使おうとしていた可能性も十分あります。そして張成沢とつながっていた。張成沢が殺された理由は、張成沢が、「金正恩を排除して金正男政権を作ろうとした」という話を中国共産党の幹部にした。その中国共産党の幹部がそれを北朝鮮に伝えて殺された。その情報が中国側から出てきています。複数の情報源がそういっています。
まだ真相は分かりませんが、そういうことで疑心暗鬼になったのは間違いない。中朝関係は悪いわけです。金正日は死ぬ直前に、脳卒中で倒れた後、病身を押して3回も訪中しているわけです。息子を宜しく頼むと言いに行っているわけです。
ところが金正恩は一度も北京に行っていない。金正恩のことを戦略家として高く評価するという専門家もいますが、私はそんなことはないと思っています。
戦略家だったら、二つの敵を作ってはいけないんです。トランプ大統領とチキンレースをやるんだったら、北京に行って、土下座でもして、とにかく今まで間違ってましたと。金正日はこれまで改革開放をやりますと嘘をついて援助を貰ってきても、やらなかったことを繰り返しています。それでも北京には行ったわけですが、そういうこともできない。
中国とアメリカの両方を敵に回して、中国もアメリカに言われているということもありますが、やはり金正恩は何をするか分からないということもあって、実際経済制裁に参加しているわけです。中国軍が今、中朝国境にいる。