国際セミナー「緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える」全報告
◆どこに希望があるのかを専門家の方々と一緒に考えたい
司会 西岡力(救う会会長)
みなさんこんにちは。家族会、救う会、拉致議連主催の、北朝鮮人権週間行事の一環でもある国際セミナーを開始します。「緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える」というテーマで、韓国からもお客様をお迎えしています。
私は総合司会を担当する救う会の西岡です。宜しくお願いいたします(拍手)。
私たちは今年2月に、家族会と救う会全国幹事会の合同会議を開いて、政府に対して「今年中に全員救出をしてほしい」ことを要請する運動方針を決めました。
安倍総理も、その運動方針を受け取るために、2月にわざわざ時間をとってくださり、お会い頂き、様々な戦略についてお話をしていただきましたが、今まで被害者がタラップを降りてくるところまではたどり着いていません。
しかし、様々な布石は打ってきた。我々も民間で全力を尽くしましたし、各党の先生方、とくに9月に訪米してくださった先生方、あるいは安倍総理を初め政府の方々がみんなでそれぞれの努力をしてきました。
他方北朝鮮は去年と今年で、何と30回も弾道ミサイルを撃ち、核実験を3回行いました。今までにない事態が起きていますが、我々は全拉致被害者救出を最優先にしなければならない。
逆にこの核・ミサイル危機をチャンスにかえなければならないと思って努力してきましたが、残念ながらご家族の方に、「これが成果です」と見ていただくものが今のところないという、大変みじめで悲しい気持ちでいっぱいです。
ある地方議会の審議の中では、特に人権週間の中の審議で教育委員会の方が、政府が作った「めぐみ」のアニメのビデオを見せるといじめが起きるから小学校では見せていない、という答弁をされています。
13歳の子どもが拉致されていることを子どもたちに教えるとなぜいじめが起きるのか。人に対する向上心があれば、その痛みが分かるようになればいじめはなくなるのではないか。20年間家族と一緒に運動をしてきて、これくらい悲しいものはありません。
しかし、向こうにいる被害者のことを考えたら、向こうにいる人たちが一番苦しい思いをしているのですから、あきらめるとか、もうだめだとか言うことはできない。
「向こうにいる人たちが絶望してしまったら、精神の安定が保てなくなる」と蓮池薫さんが言っていらっしゃいますが、その場合でも我々が絶望することはできないのです。
我々には言論の自由があるし、運動をすることもできるし、アメリカに行って訴えることもできる。できることを最大限やってきたのかとこの1年間を振り返りたいと思いますし、その中でどこに希望があるのかを専門家の方々と一緒に考えたいと思います。
お忙しい中、各党からも参加しただきました。それでもこの問題は党派を超えて重要だと、代表の先生方が来てくださっています。なお、先生方は途中で退席されることもあります。実は国連のキンタナさんという人権特別報告者の方が来ておられ、先生方との面談も入っています。そのため途中退席されます。そのことも解決につながるということで面談をしてくださっていることですので、ご理解いただきたいと思います。
それでは開会に当たり、まず主催者を代表して、家族会の飯塚繁雄代表より一言ご挨拶をいただきます。