国際セミナー「緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える」全報告
◆国際社会に対して世論喚起の大きなうねりを作っていこう
竹内 譲(公明党拉致問題対策委員長、衆議院議員)
皆様こんにちは。まず私からも、先日、チャールズ・ロバート・ジェンキンスさんの、それから増元るみ子さんのお母様である信子様がお亡くなりになりましたことに対しまして、心よりお悔やみを申し上げます。誠に痛惜、哀悼の念に堪えません。
さて本年は、拉致事件発生から40年。日朝首脳会談において北朝鮮が拉致を公式に認めてから15年が経つわけですが、改めて国内世論及び国際世論に訴えて、この問題を喚起していかなければならないと、公明党は決意をしています。
そこで今日は、海外からの参加者もおられますので、拉致問題を風化させまいと活動を続けておられるバイオリニストの五嶋龍さんについて少し紹介をさせていただきたいと思います。
私は、彼の母親であり、バイオリニストである五嶋節さんと親しくさせていただいているご縁で、今年9月に五嶋龍さんとお会いし、対談をしました。五嶋龍さんは、バイオリニストとして世界講演に飛び回るかたわら、拉致問題を啓発する「プロジェクトR」で、拉致被害者を忘れないというチャリティ・コンサートを、本年、長野市、仙台市、大阪府豊中市、東京都小平市の各地で開催されていて、9月の一時帰国の後も、岡山と福岡でリサイタルを開催してくれました。
リメンバー、忘れない龍ということに思いを込めて「プロジェクトR」と題して開催されたチャリティ・コンサートでは、開催地の大学のオーケストラの皆さんが共演されたわけです。
これは、五嶋龍さんが学生の若い皆さんにも、拉致問題について問題意識を持ってもらいたいとの思いから協力を呼びかけた、と彼は言っていました。会場では家族会や救う会の皆さんのご協力もあり、拉致被害に関するパネル展示も行うことができ、全国6か所で延べ7000名近くの来場者があり、拉致事件を知らなかった多くの若い方々に理解の輪を広げることに成功したわけです。私も微力ながらお手伝いできたことを大変嬉しく思っています。
さらにこのコンサートの模様は北朝鮮に向けた短波ラジオ「ふるさとの風」で流され、アメリカの海外向け国営ラジオでも放送される予定です。五嶋龍さんはその思いを私に次のように語ってくれました。
この問題については、幼いころ私の母親から聞かされ、拉致被害者を思い、涙する母の姿を見てきました。大人になり、私の中で問題解決を願う気持ちが強くなり、今回のプロジェクトを立ち上げました。また、被害者の横田めぐみさんのお母さま、早紀江さんからも話をうかがい、「このあまりに不公平な人権侵害は何だ」という怒りが心にこみ上げてきたのです。東京公演の会場には、早紀江さんにビデオメッセージを寄せていただきました。
実際に拉致問題を知らない人もいます。そこで各ツアーで共演した100人近い学生たちと、リハーサル前後に問題解決に向けて互いの意見を交わすディスカッションを行っています。皆、真剣でいつも白熱した議論になります。
彼が勇気をもって開催したことは、世論喚起に向けた追い風になると思っています。
残念なことに、北朝鮮は核実験やミサイル発射など、わが国や国連安保理の度重なる大きな制裁を無視して、国際社会の平和と安全を損なう誠に愚かな挑発行為を続けていますが、必ずチャンスはあると考えています。
北朝鮮が、国内、国際世論の高まりやわが国を含めた国際制裁に耐えかねて交渉の席に着くまでは、わが国は国際社会と一致協力して圧力をかけていかなければならないと思っています。
今日を契機として、五嶋龍さんのような若い人たちのお力も借りながら、国際社会に対して世論喚起の大きなうねりを作っていこうではありませんか。なにとぞ宜しくお願いいたします。公明党も頑張ります。今日は本当にありがとうございました(拍手)。