国際セミナー「緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える」全報告
◆北朝鮮はどうなるか3つの可能性
趙甲済(ジャーナリスト、韓国)
トランプ大統領の北朝鮮核問題への接近は、北朝鮮の核を除去するのか、あるいは北朝鮮の核を抑止するのかという岐路に立っていると思います。北朝鮮の核を除去するということは、軍事力を使わなければ可能ではないと思います。北朝鮮の核に対する抑止は、北朝鮮の核を認め、冷戦時代のように強力な抑止力でそれを使えなくすることです。
北朝鮮に対する軍事行動には2つの障害物があります。第1にソウルがあまりにも近すぎて北朝鮮の反撃に露出しているということと、文在寅政権が軍事攻撃に反対しているということです。
2番目は、軍事攻撃で地上の北朝鮮の核能力を攻撃することが可能だったとしても、攻撃した後、陸軍が入って北朝鮮を平定しなければならないわけですが、アメリカは大規模な陸軍を投入することを、アジアにおける投入を今はしないという方針であり、そこは文在寅政権が担う韓国が行うことになっているのですが、韓国政府はそれに反対していることです。
そういうことで北朝鮮に対する軍事行動がとれないとするならば、抑止力を高めながらより一層経済的な圧迫を強めることをし、そして韓国が独自核武装をするか、あるいはアメリカの戦術核を韓国に持ち込むことを通じて、より強い抑止力を持つことが考えられます。
今申し上げた除去と抑止の他の3つ目の可能性として、金正恩が偶発的に暗殺されるという政治的な急変事態の可能性があります。1979年10月26日の韓国の朴正??暗殺事件について私が綿密に取材をしたのですが、その結果、まず背景として韓米関係が悪かったことがあります。
もう一つ。韓国の権力層の中で、目の前の民主化闘争に対して、強力に弾圧するのか、融和的に弾圧するのかということで路線争いがあったということがありました。
今北朝鮮労働党の権力核心部で、同じような状況が作られるならば偶発的な政変が起きる可能性が高まると思います。もしかしたらアメリカと中国の間で、金正恩を除去し、その後北朝鮮に対する中国の影響力拡大を黙認するというような公開的あるいは黙契的な合意があるかもしれない。