国際セミナー「緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える」全報告
◆核技術の北朝鮮への流出に怒ったブッシュ政権
西岡 力(救う会会長)
2回目が2002年です。先ほど古森さんがおっしゃった「悪の枢軸」演説があったわけです。これも実は核問題が関係しているんです。テロとの戦争のためにパキスタンに米軍が入って、アフガニスタンと戦争をしたのが2001年10月です。
パキスタンが事実上アメリカの同盟国になって、米軍が入ってやったことの一つは、パキスタンは核を持っているわけです。米軍関係者、ボルトン元国連大使も言っていましたが、自分が行ったと。カーン博士という核兵器開発の父と言われる人に、「お前のところが持っているのはいい。しかし、まさかアルカイダに核技術を出していないだろうな」と。
当時のアメリカは9・11のテロの直後ですから、テロリストが核を持って、ニューヨークやロサンゼルスで自爆攻撃をすることを恐れていました。そして徹底的に調べました。アルカイダには出ていなかった。イラクにも出ていなかった。しかし、北朝鮮とイランとリビアに出ていた。
リビアのカダフィは、アメリカが攻撃してくると察知して、「やっていました。完成していません。全部見せます。破壊します」、「アメリカのパンナムの飛行機に爆弾を積んでいたのは我々です。補償します」と言ったので、2001年の「悪の枢軸」の中に入らなかった。しかし北朝鮮は入ったわけです。
当時、「イスラム教対キリスト教の戦いにしたくないので、北朝鮮をわざわざ入れたんだ」という解説が多かったんですが、そんなことない。北朝鮮が核開発をしていたから、北朝鮮の核開発をやめさせるために、「戦争をする」とブッシュ大統領は言ったのです。
先ほど言い忘れましたが、軽水炉のお金は日本と韓国が払いましたが、北朝鮮は2枚腰、3枚腰で、軽水炉ができるまで電気がないから年50万トンの火力発電所用の重油をただでアメリカから貰い続けていた。1995年から2002年まで。ブッシュ政権も出したんです。
今中国が北朝鮮に送っている重油は50万トンです。それと同じものをアメリカが出していたんです。アメリカから援助をもらいながら、アメリカを射程に入れた核開発を続けていたということを、テロとの戦争のまっただ中で怒りまくっているブッシュ大統領がつかんだのは2001年の秋です。