国際セミナー「緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える」全報告
◆軍事的手段反対論の弱点は、北朝鮮核武装の容認につながること
古森義久(ジャーナリスト、麗澤大学特別教授)
軍事的なことを1つだけ。もちろん誰も戦争はしたくない。軍事的手段に頼らないで、なんとか核兵器の問題が解決できればいいと思っている。これが共通の願いです。
しかし、今のアメリカでの議論というのは、軍事的手段は絶対に使ってはいけないという大前提をとると、そこで残されるのは、北朝鮮の核開発を容認するのか、認めるのかということになる。北朝鮮の核武装容認になってしまう。
現にオバマ政権で国家安全保障を担当していたスーザン・ライスという人たちは、「もう容認してもいいし、容認するしかないじゃないか」という議論を出してきています。
トランプ政権はそれに対して、マクマスターという特別補佐官が、スーザン・ライスさんの論文が出た同じ日に、「スーザン・ライスが言っていることは間違いだ」と言っています。
だから、あくまでも北朝鮮の核兵器は容認できないというのが大前提です。ここだけは揺るがない部分です。日本の中でも、トランプ政権は揺らぐのではないかという議論がごく一部にありますが、今のところ、その兆しはない。
軍事的手段反対論の最大の弱点は、それが結局北朝鮮核武装の容認につながるということです。