国際セミナー「緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える」全報告
◆徹底的に制裁して内部矛盾を高める
西岡 力(救う会会長)
心理戦と経済制裁で追い込むということは、抑止というよりも目標は核除去であって、核容認ではない。古森さんがおっしゃったように、容認を最初から出してはならない。
許さない方法として、軍事攻撃は最後の手段で、まだそれ以外の方法は残っている。その方法として、今安倍政権も言っているように、圧力を最大限に高める。まだ北朝鮮に対する石油の輸出禁止は行われていないんです。ガソリンなど石油精製品の前年比マイナス30%は決まっている。原油は前年並みとされている。しかし、私が得ている情報では10月以降、中国は30%削っているという情報もあるので、中国も今のところ独自制裁をやっているようです。しかし、いつ変えるか分かりません。
とくにかくセカンド・リサンクションを使いながら、徹底的に経済制裁をさせる。軍事的にこれ見よがしの圧力をかける。そういうことで内部矛盾を高める。その結果、金正恩が弱い立場で交渉に出てくるか、先ほど島田さんが言ったクーデターの可能性はかなり低いと思いますが、クーデターではなく暗殺だったりする。側近が暗殺する。
軍を動かすのは相互監視が厳しいのでなかなか難しいですが、そもそも金正恩が死んで金正恩の残党勢力が出てくるとは思えないので、彼らは強い方に着くし忠誠心はないですから。
そういうことで圧力をかけて、金正恩と交渉するか、金正恩が殺された後に殺した人が表に出てくると思いますので、その人と交渉するかです。どちらにしてもその交渉の中で日本が主導権を握るためには、圧力をかけておかなければならないし、当然アメリカが第一の主導権を握りますから、アメリカに拉致問題の深刻さを認識させておかなければならない。
そこまでは来たということに今はなっていて、だから核で強い圧力をかけ続ける。そこで一番気を付けなければならないのは、話し合いが必要になるから拉致問題のために制裁を緩めた方がいいという、いつもながらの議論が当然出てくることです。