家族会・救う会の「今後の運動方針」と北朝鮮情勢-東京連続集会100
◆アメリカが拉致を理解、核問題でも拉致問題が消えなくなった
西岡 力(救う会会長)
次に北朝鮮が今どうなっていて、政府がどのような方針で被害者を助けようとしているのかという話をしたいと思います。
先ほど話をしたように、1月21日に会議をして総理に面会を申し込んだら、その週のうちに安倍総理が時間をとってくれました。実は去年も2月に会議をしてすぐに安倍総理が会ってくれました。言えないこともありますが、丸めた感じで総理がおっしゃったことを報告します。
トランプ政権になってアメリカの北朝鮮政策が変わった。オバマ政権の時は彼らに時間稼ぎを許してしまった。しかし、トランプ政権はそれはさせないと言った。そして強い圧力がかかる。
この圧力を拉致解決にも利用するためには、アメリカに拉致問題の深刻さを理解してもらわなければならない。「それで」と言って、去年会った時は日米首脳会談の後だったのですが、「トランプ大統領に会った時に拉致問題について長く話しました」と。ゴルフのカートの中で長く話せる。カートで移動する時にもずいぶん話した、と。
アメリカにとっては核問題が第1なんです。我々は昨年北朝鮮が核実験を3回、ミサイルを40発撃つ中で、拉致問題の旗が核・ミサイルの嵐の中で飛んでいってしまうのではないかと。だから政府に最優先にしてくれ、先に拉致をやってくれと繰り返し言ってきました。
総理も同じ考えで、だからこそアメリカに、それも時間稼ぎを許さないと言っているトランプ政権に拉致の深刻さを認識させるということを去年の一つの目標にしました。
我々もそう考えていて、どのタイミングで訪米したらいいのかということを、拉致議連の先生方と相談しながら、9月が一番いいだろうということで、9月に訪米したわけです。
また総理もトランプさんに会う度に拉致のことに触れています。総理はどの国との首脳会談でも全部拉致のことを出していると言っていました。
その結果、トランプ大統領が国連の演説で、「13歳の少女が」ということを言った。日本に来た時に家族に会うのはまだ想定内です。日本の世論が拉致問題について関心が高いですから、総理が頼めばオバマさんも会ってくれたんです。
しかし、国連総会での演説と言うのは自分の国のために演説をするわけです。自分の国の利害のためにわざわざ大統領が行って世界に発信する席なんです。日本に来た時は日米関係のために時間を使っていますから、日本の国民が関心があることについて、自分も関心があると見せることが友好のためにいいことだということはありえるのですが、国連でトランプ大統領の口から拉致の話が出た。
それも北朝鮮が核実験をして、特に9月6日の核実験は160キロトンという広島型の10倍の爆発力があり、これは本当に大変なことになったとみんなが思っている時、トランプ大統領が北朝鮮問題で何を言うかと、みんなかたずをのんでいた時に、核のことだけじゃなくて拉致のことが話された。
我々は、核問題で拉致問題が消えてしまうのではないかと思ていたのですが、そうではなくて、核問題を一番重視している大統領が、核問題優先で拉致問題にも触れた。
それは2月の時点から総理も我々も考えていた、拉致問題解決のためにアメリカの圧力を使うためには、アメリカに拉致問題の深刻さを認識させなければならない。あるいは日本にとって拉致問題がどれくらい重大な問題で、日本人が本当に怒っており、同盟国の日本にとって最優先の課題なんだということを認識させなければならない。
それができたんじゃないか。総理は実は9月の国民大集会の前の家族との面会の時も、「これから国連に行ってきます。自分は国連でも拉致の話をしっかりします」と言いました。
帰ってきたら逆に、国会の解散ということもあったのですが、解散をする日に家族は来てくれと言われて、私も陪席したんですが、「こんな忙しい時に呼ぶんだから訪朝でもするのかな」、「何か大きなことでもあるのかな」と思っていました。
すると、「国連のことを報告したい」と。「トランプ大統領が国連演説で拉致のことに触れたというのは本当に大きな意味があったのだ」と。それは9月に、家族会・救う会・拉致議連で訪米し、横田拓也さんがホワイトハウス関係者に会ったことも大きな影響を与えたんだということを、総理も少し興奮した感じで話をされていました。
これは2月から続いている話なんです。そしてトランプ大統領が来る時、また家族との面会でした。オバマさんの時は立ち話のような感じでしたが、今回はホワイトハウスが公式日程で自衛隊訪問と拉致家族面会を発表したのには驚きました。
そして膝と膝をつきあわせるような、アメリカで言うタウンミーティング型の面会が実現し、その後トランプ大統領が韓国に行った時の演説でも拉致問題に触れました。