家族会・救う会の「今後の運動方針」と北朝鮮情勢-東京連続集会100
◆国連制裁で輸出額は9割減
西岡力(救う会会長)
今どのくらい圧力がかかっているのかを少し説明します。去年は8月、9月、12月と安保理事会で3回制裁決議を通しました。これまでも何回かあったんですが、これまでの制裁決議は、どちらかというと中国も反対しないで制裁決議が通ったというシンボル的な意味がありましたが、去年の3回の制裁決議には実質的な意味があった。北朝鮮経済にかなりダメージを与えるものになっています。
12月までの3回を合計して、今どうなっているかです。まず、北朝鮮は輸出して外貨を稼いでいます。それが、世界中の国に対して石炭等を買ってはいけないことになった。衣類もだめ、鉄鉱石もだめ、海産物もだめとなった。
海産物の中には、北朝鮮近海での漁業権も買ってはいけないとなった。農産物もだめ、機械もだめ、土石・木材もだめとなった。今北朝鮮から買うことができなくなったものが、2016年基準でどのくらい輸出されていたかを調べてみると、こうなります。
2016年の輸出額は全体で28億ドルです。石炭が12億ドル、衣類は中国から材料を持ってきて安い労働力で作り、それを輸出するのですが、昔は「洋服の青山」もこれを輸入していました。
これは韓国政府の発表ですが、2016年に北朝鮮は、日本海側と黄海側の漁業権を中国に売った。7000万ドルで。それでイカ釣り船が近海で取れなくなり、大和堆(やまとたい)にまで来るようになった。これが大きな原因です。遠くまで行ける船ではないのに大和堆に行くようになった。それが今漂着している。
海産物の禁止は昨年8月の安保理決議にあったのですが、それでも中国は漁業権を、北朝鮮からイカは買わないかわりに中国漁船が北朝鮮近海でイカをとる権利を買っている。同じじゃないかということです。そして中国の船が北朝鮮の近海に行ってイカを取っている。
それで12月の決議の中で、8月の決議で禁止した海産物の北朝鮮からの輸入禁止は漁業権を買うことも含まれているとわざわざ書いている。来年中国が漁業権を買ったら国連制裁違反です。
そういうことで、輸出28億ドルの内24.4億ドル、約90%の外貨がなくなります。北朝鮮の貿易額の約9割は中国ですから、「中国が制裁を守ったら」(外貨が得られなくなる)という表現が付きます。
総理が繰り返し言っているのは、国際社会に今の制裁をきちんと守らせること大事だ、ということです。今の厳しい制裁を厳格に守らせることが大切です。今の課題は、厳しい制裁はできた。今度は本当に守らせる。だから密輸を取り締まっている。