家族会・救う会の「今後の運動方針」と北朝鮮情勢-東京連続集会100
◆軍事的圧力(心理戦)も効いている
西岡力(救う会会長)
しかし、一方で核・ミサイル開発は完成の直前まで来ている。そして韓国で文在寅(ムン・ジェイン)政権ができた。北朝鮮からすれば、アメリカまで届く核・ミサイルを作って、韓国に親北政権を作る。これが二つの戦略目標だったのです。それが成功しているので、追い込まれているだけじゃない。
では時間はどっちの見方なのか。もう一つ北朝鮮が苦しくなっているのは、「圧力を最大限にする」と総理が言っています。圧力には二種類あって、一つは経済制裁ですが、もう一つは軍事的圧力です。
アメリカは繰り返し今、北朝鮮に軍事的圧力を加えています。空母を近くに持ってきたり、原子力潜水艦を持ってきたりしている。原子力潜水艦が1月に釜山港に入ろうとしましたが、平昌に近いからと文在寅政権が「釜山に入るな」と言った。アメリカが怒って日本に入ったということがありました。原子力潜水艦ももう日本海に来ているということです。原子力潜水艦がわざわざ釜山に姿を現すのも心理戦です。圧力です。
B1Bという戦略爆撃機があります。一昨年の9月にグアムに6機配備されました。北朝鮮が核実験をした後です。B1Bは爆弾やミサイルを60トン積むことができる。それが2機飛んでくる。2時間でグアムから朝鮮半島まで来ます。120トンのミサイルと爆弾を積んだ戦略爆撃機が、なんと去年23回グアムから半島周辺に飛行しています。
月に2回くらい、世界最強と言われる戦略爆撃機が飛んできている。グアムから飛んでくるということは、文在寅の同意なしに攻撃できるということです。韓米同盟の枠の外です。そして日本の基地から飛ぶのではないから、核を積んでいる可能性もあるということです。
日本は非核三原則があって、核兵器を「持ち込ませず」という建前がありますから日本の米軍基地には核がないことになていますが、グアムにはある可能性がある。アメリカは、どこにあるかは言わないという戦略を取っていますから。
9月3日に北朝鮮が160キロトンという広島の10倍の核実験をした後、9月23日に、B1Bが夜中に日本海を飛んできた。普通は海の休戦ラインがあってそれを越えないんです。朝鮮戦争の時は制海権や制空権は国連軍が全部持っていました。
休戦協定では陸の線は引いていますが、海や空は引いていないんです。ただ衝突すると問題なので、国連軍が一方的に、これ以上行かないという線を引きました。それが海の休戦ライン、北方限界線ですが、これを越えてB1Bが北朝鮮の元山沖にまで飛びました。23日の夜から24日の明け方に飛んで帰って来た。
ところが北朝鮮のレーダー波が飛んでこなかった。スクランブルもかからなかった。このことをアメリカは発表しました。私が聞いている平壌内部の話によると、平壌の指導部はパニックになった。「なんで捉まえられなかったのか、調べろ」ということで調べたところ、北朝鮮の今のレーダーではB1Bは捉まえられない。
B1Bステルス性は強いものですが、完全なB2とは違ったが、それでも捉まえられなかった、という報告が金正恩のところに上がったそうです。
これにはもう一つ意味があって、アメリカはもしも去年の9月の段階で戦争をすることを考えていたら、B1Bが元山沖まで行ったことを発表しなかったはずです。
北朝鮮の今のレーダーでB1Bを捉まえることができないということは軍事機密です。本当に戦争をする時まで、それを黙っていた方がいいんです。相手に相手の欠点を教えるということは、補完することになる。少なくとも補完しようとするでしょう。でも、お前たちのレーダーでは捉まえられなかったんだと教えて、攻撃できることを発表して、示した。
これは上層部だけで秘密になっていたんですが、すぐに流言飛語が広まって、「平壌上空にも来たらしい」というようなのがどんどん広まった。それで今、国家保衛部が取り締まりをしているという状況です。流言飛語の中には、「限定爆撃で金正恩だけ殺してくれればいいのになあ」というのもあります。
そして今年になってB1Bだけでなく、B2という完全にステルスの戦略爆撃機もグアムに来ました。B51という戦略爆撃機も来ました。
まだ「戦争するぞ、するぞ」と言って、「金正恩の近くにいたらお前たちも死ぬんだぞ」と。核が何発あっても、ステルスはいつ来たか分からないのです。突然来て爆弾が落ちで、死んでから分かる。死んでも何が起きたか分からない。そういうことをアメリカはできるということです。また、そういうことをわざわざ知らせている。