チャンス到来、金正恩に拉致被害者帰国を迫れ!緊急集会
◆北朝鮮にだまされたアメリカ、2つの失敗を教訓に
西岡力(総合司会、救う会会長)
被害者を返すということは工作員を引き上げることですね。金正日は晩年、そのことを検討したそうです。だからできないことではない。
2つのことを申し上げてミニシンポを終わりたいと思います。過去の経験を思い出さなくてはいけない。1回目は94年の核危機の時です。今と同じように米朝の談判になりました。そしていわゆるジュネーブ合意というのができて、北朝鮮は「核開発を凍結する」と言って寧辺の原子炉を止めました。
その時何が起きたか。アメリカから日本に請求書が来ました。軽水炉という核開発には使いにくい原子力発電所をただで作ってやると。しかしアメリカは金を出さない。日本が出しなさい、と。村山政権は10億ドル出すと言って、実際5億ドル出しました。
その時アメリカはこの合意を大切に思っていたのですから、日本がお金を出す条件は拉致被害者の帰国だと言っていれば、少なくとも何人かの人を取り戻すことができたのではないか。日本がお金を出す条件は被害者の帰国だと言わなかったのです。
2つ目の教訓は、ブッシュ政権の後半です。2008年に北朝鮮は金融制裁で追い込まれて、外貨が無くなり、困って交渉に出てきた。その時ブッシュ大統領は、被害者家族に会っていましたから、担当者のライスさん、ヒルさんに、「拉致問題が0回答じゃだめだぞ」と言った。
我々がヒルさんに会った時、自分の定期入れからぼろぼろになった拉致のパンフレットを出して、「私は北の代表と会った時、いつも拉致のことを出していますよ」と言っていました。
だから、議題にすることはもうすでにやっていたんです。何が起きたのか。北朝鮮はとにかく金融制裁を解除してもらいたかった。それで「再調査をする」と。それでブッシュ大統領は、「そうか、北も少し動いたのか」と言って金融制裁を解除し、テロ支援国家指定を解除しました。だまされたんです。
ですから今耕一郎さんがおっしゃっていたように、議題にするとか、再調査をするとかではだめなんです。既にそれはヒルさんの時にやっていたんです。今、第2段階に入った。北朝鮮が苦しくなって交渉に来た。しかし、苦しくなったら嘘をつくというのが彼らの経験則です。そのことを一番よく知っているのが総理であり、ボルトン補佐官です。
この枠組みの中で、すべての大量破壊兵器をやめることと、拉致被害者を返すことと比べたらどっちが簡単か。簡単な方もできないのに、難しい方ができるか。実はこれは、アーミテージ国務副長官が言っていたことです。だからアメリカは拉致解決を迫るんだ、と。
そういうことを是非、総理とトランプ大統領との関係で、常に話をされていると思いますが、このタイミングでもう一度言っていただきたい。そのことを、今日の決議を踏まえて、家族が明日総理に訴えることができることに感謝しています。
本当に正念場です。そして勝てるかもしれないところまで来ましたが、一つだけ分かっていることは、日本が何もしなければ取り戻せないということです。こういう状況の中で、日本が主体的に努力をすれば取り戻すことができるかもしれない。山のいただきが見え始めた。今そこまで来たと思っています。みんなが力を合わせなければいけないと思っています。
次に、明日総理に訴えたいことを、残りの家族会の方に聞きたいと思います。ありがとうございました(拍手)。
西岡 では今何を思っていらっしゃるか、総理に、トランプ大統領に何を伝えたいかについてお願いします。