政府に今年中の全被害者救出を再度求める国民大集会報告
◆特定失踪者も一緒に帰国してくる日を待っている
大澤昭一(大澤孝司さん兄、特定失踪者家族会会長)
私たちは誠に時期が遅かったのかもしれません。やっと昨年の5月に家族会を結成いたしました。そして最初の活動として、膠着状態にある現状の打破、進展をめざして、本年1月に、目標であるオランダのハーグの国際刑事裁判所に南下で行って申し立てをいたしました。
裁判所の事務室で、須田弁護士、竹下事務局長、大澤の3人で申立書と545人の名簿を提出しました。その際、これで拉致問題が大きく動いてほしいと、緊張感と厳粛な気持ちで提出しました。
しかし、4月4日の返答は、私たちの期待に反して、この案件は、日本が国際刑事裁判所に加盟した2007年10月1日以前の事件だとして、内容の審議もなく、大変残念ながら門前払いを受けてしまいました。なお、この申立てに際しては須田弁護士を初め特定失踪者問題調査会や政府関係者から多数のご支援をいただきました。
私たち家族は、残念ながらハーグでは私たちの願いはかないませんでしたが、私たち特定失踪者の家族は皆、家族が何者かに連れ去られいなくなったのに気づき、警察、知人、友人にお願いし、何十日も海、山、四方八方くまなく探しても見つからない。電話を待ち続け、玄関の鍵もかけずに、ただひたすら会えるまではと何十年も探し続けてきた家族です。特定失踪者家族は皆同じような家族です。
小泉訪朝により北朝鮮による拉致と知り、警察に話してもなかなか進まず、なんとかしようと個人的に救出運動、署名運動をするにも支持者組織も作れず、年間1、2回の調査会での集会に参加するのが精一杯でした。
その内、みんなで固まって今声を挙げないと声も出せなくなると、遅きには失しましたが昨年5月、家族会を結成しました。今や同じ思いの家族が次々に入会して、今63家族69人となりました。本日は23家族でここに参加しました。
私たち家族の願いは、拉致被害者は17人以外にも、国連の調査でも100人以上、刑事裁判所に申し立てた際も550人の名簿を提出しました。これだけ多くの日本人が北朝鮮に拉致されたことを、全国の皆さんに理解していただきたいと思います。
私たち特定失踪者は残念ながら全国的にはあまり理解されていません。私たちは、もっと私たちのことを知ってもらうべく、先日知事の会にお願いして、全県に今回刑事裁判所に提出した申立書と失踪年代順のリストを送付しました。
今後各県の皆さんにおかれましては、各県にこれだけの特定失踪者がいるということを理解していただき、これまで寂しく運動をしていましたこの特定失踪者にも温かいご支援をお願いいたします。
私たち家族も高齢です。私も82歳、まさにぼけが進行中です。今も、周りの人の気遣いを受けながら動いています。これ以上は待てません。体調が不良になってから再会して、抱き合っても、昔話ができなくなります。
遅くなっての運動ですが、一生懸命にこれからも固まって世論の喚起を促し、私たちの肉親を助けるために運動を続けます。幸い、今般の安倍総理とトランプ大統領との日米首脳会談で、被害者帰国への最大限の努力を明確に約束してくれました。今回はこれまでの大統領に比べて必ず進展すると期待します。
今後順調に事態が進んで、被害者の皆さんと私たち特定失踪者が一緒に帰国してくる日を待っています。家族会の皆さんもご理解ください。
安倍総理、全国の政治家の皆さん、この度は全力で当たってもらいたいと思います。これが最後です。これ以上私たちも待てません。今回限りです。お願いします(拍手)。
【特定失踪者家族会参加者紹介】
竹下珠路(古川了子さん姉、特定失踪者家族会事務局長)
警察庁発表で、拉致の可能性を排除できない特定失踪者は883名と発表されています。私たちが調べたところでは、47都道府県すべてに特定失踪者がおられ、今から60年前から連れ去られています。今日は居ても立ってもいられない思いで、北海道から九州まで、特定失踪者の家族が集まりました。失踪年代順にご紹介します。
昭和36年12月、神奈川県から失踪した斉藤正治さんの弟さん、斉藤良司さん(拍手、以下略)、
昭和43年12月、北海道から失踪した斉藤裕さんのお姉さん、斉藤由美子さん、
昭和44年2月、京都府から失踪した別役桂子さんの弟さん、別役瑞久さん、
昭和46年4月、愛媛県から失踪した山下綾子さんの従兄の長島清志さん、
昭和46年12月、鹿児島県から両親そろって失踪した園田一・園田敏子さんの娘さん、前山利恵子さんとそのご主人の前山光秋さん、
昭和47年11月、東京都から失踪した生島孝子さんのお姉さん、生島馨子さん、
昭和48年1月、秋田県から失踪した薩摩勝博さんの妹さん、品川貴美子さん、
昭和48年7月、千葉県から失踪した古川了子の姉、竹下珠路です、
昭和49年2月、新潟県から失踪した大澤孝司さんのお兄さん、大澤昭一さん、同じくお兄さんの大澤茂樹さん、
昭和49年5月、富山県から失踪した荒谷敏生さんお妹さん、矢島文恵さん、
昭和59年6月、山梨県から失踪した山本美保さんの妹さん、森本美砂さん、
昭和60年12月、兵庫県から失踪した秋田美輪さんのお姉さん、吉見美保さん、
昭和62年11月、埼玉県から失踪した佐々木正和さんのお姉さん、佐々木美智子さん、
平成3年4月、埼玉県から失踪した佐々木悦子さんのお母さん、佐々木アイ子さん、
平成3年9月、兵庫県から失踪した森本規容子さんのお母さん、森本幸子さん、
平成3年10月、静岡県から失踪した橘邦彦さんのお母さん、橘智子さん、
平成5年6月、千葉県から失踪した田中正道さんの妹さん、村岡育世さん、
平成7年3月、大阪府から失踪した植村留美さんのお父さん、植村照光さんとお母さん、植村光子さん、
平成10年4月、新潟県から失踪した中村三奈子さんのお母さん、中村クニさん、
以上です。宜しくお願いいたします(拍手)。
櫻井 883人もの人が北朝鮮に拉致されている可能性があるというこの重い数字を心に刻みたいと思います。では荒木和博さんにご挨拶をいただき、この特定失踪者の問題についてお話いただきたいと思います。