政府に今年中の全被害者救出を再度求める国民大集会報告
◆トランプ大統領が、被害者が生きていると確信した
西岡力(救う会会長)
皆さんのお手元に決議案があると思います。私がこのところ下書きをかいているのですが、昨年9月の決議案を出してみて、それを参考にして書こうと思ったのです。見ると、昨年9月には、我々は強い危機感を持っていました。
9月3日に大規模な核実験がありました。広島に落とされた原爆の16倍だったのです。そして9月15日には、ミサイル発射もあった。日本を飛び越えたんです。トランプ大統領は、「そんなことをしていたら北朝鮮という国がなくなるぞ」というようなことを言った。北朝鮮は、「何十倍の報復をする」と言った。
そういう緊張関係の中で、我々は一生懸命拉致被害者救出の旗を上げていたんだけど、(その旗が)吹っ飛んでしまうのではないかということが決議案に書いてありました。
しかしこの間、ここにいる皆さん、先生方、政府、与野党、そして地方議員の先生方がみんなで声をあげて、旗を降ろさないとやってきたら、核・ミサイル問題だけでなく、拉致問題も浮上してきました。今両方が上に上がっています。
何もしなかったらここまで来れません。私はいつも、国民運動というのは、重い鉄の球を持って山を上がっていくようなもんだ、と。手を放したら落ちちゃうんです。重い球ですから1日何センチしか上がらないんです。上がった気がしないんです。
しかし6か月経って見ると、6か月前は拉致問題が飛ばされるかもしれないと言っていたのに、みんな今日は、「機会だ」、「チャンスだ」と言えるようになった。何もしなかったらこんなことは起きません。しかし、上がっていけば、上がるんです。ここまで来たんです。
トランプ大統領の口から、「拉致問題を首脳会談で提起する」ということがありました。でもそれだけでは足りない。拉致問題を提起しても、北朝鮮は、「いや報告書を出します」となる。
「死亡の証拠があるんです」と言われて、トランプ大統領のもとには詳しい情報がないでしょうから、「あ、そう。証拠が出たのならかわいそうな家族はこれで消息が出て喜ぶだろう」と思ってしまったら、逆に危なかったかもしれない。
だから我々は、トランプ大統領の口から、「全員返せ」という言葉が出なければならないという決議を持って総理のところに行き、「トランプ大統領にそういうことを説得してください」と言った。その時に、日本政府が持っている情報も活用してくださいというところまでお願いしたわけです。
情報のことは秘密のことが多いです。私は先ほど荒木さんが言ったことに全面的に賛成はしません。もう少し政府がやっていることについて知っているし、私が知らないこともありますが、少なくとも今回のことで分かったことは、トランプ大統領が、被害者が生きていると確信したということです。
そうえでなければ、「被害者を日本に連れ戻せるようにできる限りのことはする」という言葉は出てきません。北朝鮮は死んだと言っているんです。解決は消息が分かるということだけではないことが分かった。「連れ戻す」と言ったんです。生きている人でないと、連れ戻せないんです。
「解決のために努力する」ということと、「連れ戻すために努力する」というのは、こんなに違いがあります。そのことを総理は、会談の後の記者会見で言わせることができた。会談の前の冒頭発言では、「拉致問題を提起する」だったんです。
しかし、会談の後の記者会見では、「日本に連れ戻せるようにできる限りのことをする」と言った。だから総理が努力されたことがここに表れていると思いますし、情報のことも生かされていると信じています。