訪米報告と米朝首脳会談?東京連続集会101
西岡 ここからは訪米を踏まえて今の状況をどう見るか。特に北朝鮮がジョン・ボルトンさんのことを激しく非難しています。「あんな奴がいるなら米朝協議をやめてやるぞ」というような意味の外務第一次官の声明を出したりしています。
今の状況の中で拉致問題をどう考えるかについて島田さんと討論したいと思いますが、実は今日、私たちがこの問題について教えてもらっている古森義久さんがきてくださっています。入り口のところで突然お願いしたんですが、今アメリカ政府が拉致問題をどうとらえているかという点と、北朝鮮の声明とそれに対してトランプ大統領が昨日言ったことなどについてお話を聞きたいと思います。宜しくお願いいたします(拍手)。
◆「13歳のやさしい少女」という言葉にこもる心
古森義久(ジャーナリスト)
今回の訪米の成果というか総括みたいなことをまずご報告します。同じ日本人が外国政府によって拉致されて40年、昼も夜も辛い思いをしている。これは日本人にとって国民的課題だと思います。悲願とも言うべきものです。また日本にとって国家的課題だとも思います。主権国家は国民の命と暮らしを守らなければならない。しかもその国が民主的であればあるほど、国民によって作られた国家なんだからなおさらやらなければならないということで、国家的課題です。国家的責務と言えるかもしれない。
今起きている状況というのは、日本人拉致事件の解決というのは、ついに国際的な課題にもなったということだと思います。なぜそうかと言えば、家族会、救う会、拉致議連の方々が国際的なアピールを続け、ついにトランプ政権が非常に強い支持を与えるようになったということなんです。
私自身が拉致問題に関わったのは、2001年でずい分前です。家族会・救う会の方々が初めてアメリカに来られた。これまで関係者のアメリカとの直接的な接触はまだなかったということです。
その時点で私のワシントン駐在は長かったのですが、国民としてお手伝いをさせていただいた。時のブッシュ政権のどういう人にどう会えば、どんな効率が得られるかというようなことをお話させていただいた。
その時の状況を思えば、日本の中でも官民ともに問題に対する対応が十分ではなかった。その前には家族会の方々は、誹謗され、無視され、非常に苦しい思いで、日本の権力・勢力の扱いを受けてきた。
この人たちがアメリカに来て、ブッシュ政権がずっと前向きな対応をしてくれるので、意外で、驚いたということがありました。それからちょうど1年後、2002年の初めに、ブッシュ大統領は一般教書演説というのをして、北朝鮮は「悪の枢軸」だと断定した。
これを当時の総書記の金正日が圧力に感じて、日本人5人を返した。やはりアメリカの動きというのが大きいわけです。そのアメリカが今、日本人拉致についてかつてない真剣さで国際的に取り上げて解決しようとしている。
「心が入っている」と報告された方がいらっしゃいましたが、私がそう思ったのは、細かい点でしたが、去年の9月トランプ大統領が国連で演説した時に、横田めぐみさんに触れて、日本語で言うと、「13歳のやさしい少女」と言った。日本ではやさしいとかかわいらしいと訳されていますが、「sweet」という言葉を使ったんです。
「sweet」というのは甘いという意味から始まって、やさしい、かわいらしい、思いやりがあるという意味です。これは政治指導者が公の場で使う言葉ではないんです。むしろ普通の人間が自然な気持ちを表す時に使う言葉が「sweet」だと私は思っており、この言葉が胸に残ったんです。
ですからトランプ大統領の演説の下書きを準備した側近の心に、私は「sweet」という言葉があったのだろうと感じました。