訪米報告と米朝首脳会談?東京連続集会101
◆北朝鮮の体制は保障するとトランプ大統領
古森義久(ジャーナリスト)
今北朝鮮は、「北朝鮮の核廃棄」とは言っていない。ここでジョン・ボルトンさんが出てきて、「リビア方式」の核廃棄と言っています。2003年に、リビアにはカダフィという独裁者、これこそ独裁者という顔をした人がいて、核兵器を開発しようとしていた。この時アメリカはそれを止めたんですね。
この時はブッシュ政権で、ジョン・ボルトンさんもこれに深く関わっていたんです。「リビア方式」というのは、まず国内のどこに行ってもかまわないという査察と検証です。リビアはまだ最終的な核開発の段階までいっていなかったんですが、その寸前にあった。それに関する施設や機材、技術者まで全部押さえて、そして最初は飛行機で、後では船でリビアから出したんです。そしてアメリカのテネシー州の軍事研究所に持っていって、そこで研究した上で破壊、破棄をした。
これが「リビア方式」なんです。ボルトンさんは、これをやるぞと言った。それに対して北朝鮮が反発したわけです。トランプさんが出てきて、必ずしも適用しないと言った。
その理由は、カダフィが核兵器を放棄して独裁を続けたけれど、6,7年後にテロでやられた。自分の国の国民につかまって殺された。だから体制保障じゃなかったんです。核兵器を放棄した後体制が崩壊した。
トランプさんが言ったのは、「北朝鮮が完全に核兵器を放棄したら体制を保障しますよ」と。生き残りを保証する、と。だから本当の意味で「リビア方式」ではないと言った。
今北朝鮮は、ボルトンだけがトランプ大統領の意見と違って、先走りをして無謀なことを言っているという印象を全世界に広めようとしている。できればボルトンを失脚させるところまで持っていきたいと必死になっているわけです。
もしかするとボルトンとトランプが組んで、片方は厳しいことを言い、片方はいやいやそうでもないんだよ、と言っているのかもしれない。
日本の安全保障については、敢えて言えば朝日新聞は、「トランプが今米朝会談に前のめりになっている」と書いた。前のめりになっているのは金正恩なんです。会談を求めてきたのは金正恩だということは、あまりにも明白な事実です。