訪米報告と米朝首脳会談?東京連続集会101
◆アメリカが怖いから出てきた北朝鮮
古森義久(ジャーナリスト)
金正恩がなぜあれほどアメリカに敵対的な行動をとるのか。「核で海の底に沈める」等と言っていた。国際社会から悪魔のように見られていた人が、一夜にして平和の天使みたいになってしまった。
これはアメリカの官民ともに信用していません。今までの言動パターンを見たらこれは信じられない。
ではなぜ首脳会談をしたいというところまで折れてきたのか。これを一言で説明すると、これはアメリカの北朝鮮問題専門家の間では「恐怖」と見ています。恐れる。このままだと経済制裁で国家が生きていけなくなり、軍事攻撃で自分も抹殺される。その恐怖から米朝会談を提案した、と。ですから前のめりになっているのは金正恩なんです。
こうした駆け引きが行われているところで、北朝鮮は色々なことをやるけれども、私自身は北朝鮮が米朝首脳会談に応じる確率の方が高いと見ています。もちろんそれは分かりません。金正恩の心の中は読めないから。どうなってもおかしくないぐらいに思っていればいい。
ただ、我々はアメリカの同盟国として、トランプ政権の方針が揺らがないで明確に存在する方がいい。それは断固として北朝鮮の核兵器保有は認めない、許さない。そのためには軍事手段を含むあらゆる手段でそれを阻止する。ただ、軍事的手段はできるだけ使いたくない。それを避けるためには経済制裁をこれからもどんどん強めていく。しかし、最後の手段として軍事攻撃というのはあり得るんだということです。
その目的が満たされない。例えば北朝鮮が、朝鮮半島の非核化をあいまいにしながらも、「非核化しますよ」と言った。そうしたらその段階でアメリカが経済制裁を緩める。あるいは外交承認をする。体制の保証をすると言って段階的にギブ・アンド・テイクでやっていく。
日本の一部の専門家も言っていますが、核兵器は出口放棄です。「非核化しますよ」と言ってるだけで、実際そういう行動をとらない。色々なやりとりをして米朝が和解をして、和解が終わった段階で、その出口で北朝鮮が核を放棄すればいいんだということです。
これは一見もっともらしく見えるけれども2つの要素がある。つまり非常に危険だということです。結局北朝鮮の核保有を容認してしまう。幸い今のトランプ政権は出口論は絶対認めない。認めないという決意を揺るがさないからこそ北朝鮮が今出てきている。そしてトランプさんは罵りに近い言い方で、「前の大統領は全然だめだった。俺は違うやり方をする」と。
そしてトランプ政権の存立の基盤に関わるような、「ここまでは許容するけれどもこれ以上は絶対しない」という線があって、今の北朝鮮が日本の世論も含めて国際社会に訴えようとしている北朝鮮の言動、方針とは違うものがあるわけで、絶対に許容しない、と。そんな感じです。
トランプさんが言っていることは簡単です。「もし、私が望むことを金正恩がしないんだったら途中で席を立つ」ということです。以上です(拍手)。
西岡 ありがとうございました。よかったら、このまま討論に参加してください。