米朝協議と拉致問題?東京連続集会102
◆米国家安全保障会議の幹部が充実
西岡 そこが日本とは一番違うところです。大統領は国民から選ばれているんですが、局長を自分で決められないんです。上院が承認しなければ局長を決められない。日本は議院内閣制ということもあるんでしょうが、国会で選ばれた総理大臣が大臣を任命できる。国会の承認は必要ない。その大臣が局長を決めます。アメリカでは局長は上院の承認が必要になる。
島田 正確に言うと、Deputy Assistant Secretaryと言われる次官補代理以上は上院の承認が必要です。スーザン・ソーントンという人は上院で通らなかった。それはマルク・ルビオ上院議員が、この人はだめだと、中国に対して甘すぎる、台湾に対して北京の意向を配慮したような冷たい態度をとっていた、と。それから北朝鮮問題でも対応があやふやだ。こういう人間を私は承認しない、と明言した。
アメリカの上院の場合、一人でも議員がだめだというと、ホールドと言って、人事が一旦止まります。いつ解除されるかは上院の中でも取引がある。今上院でも、共和党、民主党が拮抗していますから、共和党議員の一人がだめだと言うと、そこで人事が止まる。
ソーントン氏は結局、通る見込みがないということで本人が1月初めに辞退し、国務省を引退した。その代わりにだれを指名してくるのか。今名前が上がっているのは、ポッティンジャー氏。先のルッジェーロの一つ上のランクの人です。
この人は横田拓也さんたちが大分前に会っておられますが、ポッティンジャーの名前が上がっています。ポンペオがポッティンジャーにやってくれと言ったけど、本人が、「ホワイトハウスにいた方が自由に動けるから」と断ったという話もあります。
もう一人、ダニエル・ブルメンソールというシンクタンクのAEIにいる人の名前が出ています。中国が専門です。私も2回AEIで会ったことがありますが、ボルトンとAEIで同僚だった人です。これも中国に対する非常な強硬派です。
本来北朝鮮との実務レベルの交渉をやる場合、国務次官補が中心になるんですが、今いないので、NSCが主導権を握るチャンスが増えています。NSCではまずボルトンがトップにいて、その下にフレッド・ライス事務局長がいます。私は前から個人的にも結構つきあいがあります。ハードライナーでしっかりした人です。その一つ下に、マシュー・ポッティンジャーがいます。海兵隊出身の立派な人です。その下にさっき言ったルッジェーロ。金融制裁の専門家がいます。
従って今、NSCのスタッフは非常に充実しています。私も結構長く見ていますが、私の立場から見て、NSCの幹部にこれだけしっかりした人間が揃っているのは珍しいですね。
西岡 全部島田さんの友だち?
島田 いやポッティンジャーは1回会っただけで、ルッジェーロもルビオのスタッフでいた時に、確か1回会った記憶があります。ルビオがソーントンの人事をつぶしてくれたわけですが、ルビオも40代後半で大統領候補です。ルビオと日本の議員が常にコンタクトをとって、拉致問題の最新情報を入れたらいいと思います。彼が上院で言ってくれたら大変インパクトがあります。
ところが外務省の最高幹部の人に最近聞いたところでは、ルビオと接触できている日本の議員はいないということです。河合さん(衆議院議員)という、自民党総裁の特別外交補佐が毎月のようにワシントンに行っておられますが、ルビオとは会っていないようです。
古屋圭司拉致議連会長に聞いても、河合さんはよく知らないという人で、理念的にどういう人なのかは分かりません。理念的にルビオと共鳴できるような大物政治家が誰か常に接触を持てるようにすべきだと思います。
イスラエルなんかはそういうことをやっているんです。だからイスラエルの外交がかなりアメリカの外交に反映しています。日本では安倍さんとトランプとの関係はしっかりしています。
ルビオは尖閣諸島を日本領と認めるべきだと明確に言っています。そういう人とパイプを持つ議員が一人もいない。これは日本外交の弱点じゃないでしょうか。