米朝協議と拉致問題?東京連続集会102
◆田中均という人は拉致を無視してきた
西岡力(救う会会長)
その田中均さんというのはどういう人なのか。2002年9月17日、朝平壌に降り立った時、北朝鮮の外務省の局長から紙を2枚渡された。その紙に、「8人死亡、5人生存」と書いてあった。北朝鮮が言う死亡の時期も書いてあった。
家族会は国会の議員会館に集まって待っていたら、午後になってから「消息をお知らせします」と言って、外務省の飯倉公館という施設に呼ばれた。丁寧なことに、その時だけバスが準備されていた。そのバスに乗っていったら、「大切な問題ですから今慎重に確認作業をしています」と言われ、待たされた。
そして平壌宣言のサインの直前になって一人ひとりが呼ばれて、「亡くなっています」と断定形で伝えられた。後で蓮池さんたちにその時の話を聞くと、平壌で朝から待たされていて、昼になって日本政府の関係者が来た。自分が蓮池薫である証拠だと言って、ズボンをめくって傷を見せて、「これが交通事故の傷跡です」と言ったけど、外務省は事前にそのことを調べていなかった。
それ以外に確認作業はしてないんです。それなのに、「確認作業をした結果として死亡だ」と伝えたのが田中均さんです。そして5人の被害者がその後帰ってきて、5人は秘密に政府に対して、「日本政府が守ってくれるなら日本に残りたい」と伝えていた。安倍副長官と中山恭子参与に伝えていたんです。
私はその一部について、自分がメッセンジャーになったのでよく知っているんです。それにも関わらず、「ミスターXとの約束だから(5人を)北朝鮮に返すべきだ」と言ったのが田中です。そして先ほどいったように、2回分の交渉記録を破棄したのも田中です。
そういう人が未だにこの問題で発言を続けていること自体、私は許されないことだと思いますが、その人が今言っていることも大変危険です。そういう人と朝鮮総連の人を国会議員が40人も集まって話を聞いているということが今起きています。
では突然その人たちが動き始めたのはなぜなのか。それは北朝鮮が「過去を清算しろ」と言い始めたことと裏表の関係ではないかと推測しています。
ですから最初に言った通り、1回チャンスは来る。北朝鮮は、拉致問題について何も触れないで日本から1兆円は取れないと思っているでしょう。今のところは、全員返す決断を金正恩はしていない。
2002年に金正日が決裁した「8人死亡、4人未入境、それ以外にいない」という大枠は崩さないでお金を取ろうと、今必死の工作をしているのではいかと思っています。
日本国民の多くが、「それでもいいじゃないか」と思ったら負けです。だから私は最近講演で、「今準決勝だ」と言っています。冒頭に言ったような決勝戦が1回来る。彼らはお金がほしい。
しかしその条件として、アメリカは全部の核・ミサイルを廃棄することをきちんとやってほしいと言っている。トランプ大統領が少し揺れているんじゃないかと少し心配していますが、このことがクリアーされたとしても、拉致問題が解決しなければだめだ。