全拉致被害者の即時一括帰国を!国民大集会報告
◆拉致被害者は生きている、生きている人を全員返せ
西岡力(救う会会長)
今日の集会のテーマは、「全拉致被害者の即時一括帰国」です。実はこの言葉を、私は4月の集会で叫びました。拉致解決の定義は何なのか。今、拉致を解決すするとはみんな言うんです。先ほど古屋先生が名前を出して批判された、日朝国交促進議員連盟の先生方も、拉致問題は解決しなければならないと言います。
だから今、我々が明らかにしなければならないのは、解決の定義は何かということです。それが、「全拉致被害者の即時一括帰国」だということで、それを皆さんでもう一度確認することができた、意味のある集会だったと思っています。
また前回の4月の集会の後、山谷先生や塚田先生たちと一緒に、加藤大臣も行ってくださいましたが、アメリカに行って、我々にとっての拉致解決の定義は何かと聞かれるので、「全拉致被害者の即時一括帰国」です、と。その全被害者は、認定未認定に関わらず全員だということを繰り返し主張してきました。
そしてその全被害者の中には、北朝鮮が一方的に死んだと言った8人、拉致をしていないと言った4人、そしてそれ以外の未認定の被害者、この3つといおうのカテゴリーが全部帰ってこなければだめだ。これがすべての意味だとすべてのアメリカの機関で言ってきました。
そうしたら、ホワイトハウスのNSC(国家安全保障会議)に行った時だけ、私がそれを言う当番だったので、それを言おうと構えていたら、ポッティンジャーさんという上級アジア部長が、「8人は生きいるんですよね」と、「まだほかにもいるんですよね」と向こうから言ってきたんです。
我々は2000年から繰り返し訪米してきましたが、「ああ、やってきてよかったな」と思いました。そしてアーミテージさんという元国務省の副長官で、我々にとって本当に助けていただいた方も、拉致問題の解決の定義という話をしたら、「解決の定義は簡単です。北朝鮮が決めるのではありません。日本が決めるんだ。拉致家族の人たちがこれで解決だと思うまで解決しないんだ。あなたたち自身を持ちなさい」と言われました。
全被害者が一括して帰ってこなければならない。我々はそういう整理をすることができたというのも、頂上に向けての一歩だと思っています。
櫻井さんが今、小泉訪朝以来大変有利な状況ができているという話をしました。私も全く同じ意見です。但し、まだ決勝戦にはいっていない。準決勝だと思っています。準決勝とは何か。残念ながら日本国内に、「全拉致被害者の即時一括帰国」が解決の定義だと思っていない人がおられることです。
そしてそういう人たちを、北朝鮮が工作の対象として日本の世論を変えようとしていることです。先ほど申し上げた議員連盟の総会に、誰が講師として来たと思いますか。朝鮮総連の新聞の平壌支局長が国会議員会館に来て、40人の超党派の国会議員の前で、「拉致問題は解決済だ」という講演をしたんです。
そこに残念ながら初代拉致議連の会長もおられた。黙って聞いていたと聞いています。もう一人、講師として来たのが、2002年の小泉訪朝の立役者の田中均・元(外務省)アジア太平洋局長です。田中さんがそこで言ったのは、合同調査委員会です。そして連絡事務所を作った方がいいと言った。その話がわーと広がっているということです。
これは大変危険です。最近私が、第三国で広まっている、入手した情報の中にこういうものがあります。「横田めぐみさんは死んでいる」と。じゃああの「遺骨」はなんなんだ。「実は元夫が精神病院の裏山で掘り起こしたあの裏山には色々な遺骨が埋まっているんだ。間違えて他人の遺骨を掘り起しちゃったんだ。だからDNAが出なかったんだ」と。
だから合同調査委員会を作って一緒に発掘しましょうということになっちゃうんです。なぜ合同調査をする必要があるのか。日本政府が白いパンフレットを作っているのはご承知の通りですが、「北朝鮮の主張の問題点」というパンフレットです。
内閣府のホームページに入ると、拉致問題対策本部があり、そこにいくと無料でダウンロードできます。「北朝鮮の主張の問題点」というパンフレットを見ると、「北朝鮮が死亡の証拠として、あるいは拉致したのは13人だけでそれ以外の人はいないと言ってきた主張はすべて信用できない」とあります。
合同調査委員会ではなく、日本政府が独自に調査して信用できないと書いてあります。例えば、めぐみさん以外の7人の「死亡」と言われた人たちの死亡診断書は医者がサインをしています。死亡の時期も場所も全然違うのに、同じ病院の同じ書式の診断書が出ている。
めぐみさんの死亡診断書を見ると、「1993年に自殺した」と書いてある。めぐみさんの元夫も、横田さんたちに出した手紙で、「93年に愛するめぐみを失いました」と書いてある。そのパンフレットに写真が出ています。
しかしめぐみさんは94年4月まで、蓮池さんと地村さんと同じ地域に住んでいたんです。それをある新聞が書いてしまったから北朝鮮が説明を変えて、「記憶違いでした」と言うんですが、愛する妻の骨を掘り起こしてまで持っていた人が、死亡日を間違えるのか。
そういうことはもう調査が住んでいるんです。北朝鮮の説明に対して日本政府が調査した結果が出ているんです。それなのに合同調査委員会等と言う。あるいは自民党の総裁選挙の討論会で、ある新聞の論説委員が安倍さんに対して、「北朝鮮の主張と日本の主張がかけはなれている。どっちが正しいかこれから検証しなければならない」、「安倍総理は全員、生きて取り戻すと言っているが、もしも不幸なことがあったらどう責任を取るんですか」という質問をしました。
北朝鮮の主張は「8人死亡」です。それいがいにない。日本政府は全員生存を前提に取り返すと言っている。両方を忠実な立場に立って検証しろと、日本の大新聞の論説委員がする。あるいは、「不幸なことがあったらどう責任を取るんですか」と。
何を言っているんですか。不幸なことがあったら拉致した側の責任じゃないですか(拍手)。そういう言動があるということは、まだ準決勝が終わっていないということです。残念です。
ここにいる人たちは違いますが、荒木さんも今言いましたが、外に出た時に、ここは永田町の近くですが、そういう人もいるということです。そういう人に勝たなければならない。しかし、今日ここに来てくださっている先生方は我々の見方です。
古屋先生なんか現職の国会議員なのにわざわざ自党の人がやっている議員連盟の名前を出して、ここで批判された。政治的になかなか大変なことだと思いますが、意を決してやってくださったんだと思います。
準決勝に勝たなければ、全被害者を取り戻す日朝首脳会談に行けないということです。総理は先ほども、「すべての被害者を取り戻すのが私の使命だ」と言いました。「全拉致被害者の即時一括帰国」を北朝鮮に呑ませるためには、それをしないと日本から経済協力資金は取れないんだということを、向こうに発信しなければならないということです。
一方、北朝鮮は今苦しいです。この状態が続くということは、外貨がどんどんなくなっているということです。去年安倍総理が主導して、トランプ大統領と協力しながら行った経済制裁は大変厳しいものです。
去年の7月、8月、12月に国連の安保理事会で決めた制裁によると、おとどし北朝鮮は貿易で28億ドル収入を得ていました。その内25億ドルがなくなるんです。北の石炭も鉄鉱石も食糧も水産物も買っていけないことになりました。それを足していくと25億ドルになります。1年ごとに25億ドルなくなる。
国連の推計では北朝鮮のGNPは200億ドルです。苦しいことは間違いない。
だから密輸をやっているんです。
我々がやるべきことはまず準決勝で勝つということが前提ですが、そして要求を下げないということです。北朝鮮に対して、日本から経済協力資金が欲しいなら、国交正常化をしてほしいなら、まずあなた方が変わることだ。「全拉致被害者の即時一括帰国」なしには、日本は絶対一歩も動かないという主張をすることとと同時に、制裁の水漏れを防ぐことです。
昨日私のところに情報がありました。ある業界関係者の人の話によると、日本が輸入を禁止している北朝鮮産のまつたけが、日本に入ってきている。先週18日くらいから中国に入り、これは制裁違反ですが中国は買っている。
1日10万トンくらい入り、そのうち2?3万トンくらいが雲南省に行って、雲南省産に化けて日本に入ってきている。飯塚さんたちに申し訳ないと業界関係者の人が言っていました。先ほど総理にも、「調べていただきたい」と言いましたが、そのような穴をふさがなければ、彼らが一息ついてしまう。
それに日本が加担していたらどうなるのかと強く思いますが、その穴をふさいで苦しさを向こうに味わわさせる。そして「全拉致被害者の即時一括帰国」。それがあれば、安倍総理は北朝鮮に明るい未来があると言っている。
取引をする。決勝戦に行く。最後の勝負です。だからこそ皆さんで、拉致被害者は生きていると。先ほどの総理への質問で、総理は、「何をばかなことを言っているんですか」と。「死亡の証拠がないんですよ。死亡の証拠がない以上、全員生存を前提にして助けるのが当たり前じゃないですか」と。
早紀江さんがよく言います。拉致というのは、子どもが池にはまっておぼれているようなものだ。大人たちは飛び込んで助けるべきだ。飛び込んで、助けて、病院に連れて行って、息を見て、だめだとなった時に初めてあきらめるんです。死亡の証拠がない時になぜあきらめるんですか。
全員を私たちの手で取り戻す。まず準決勝で勝ちましょう。日本国内で、死亡の証拠はない、全員助ける、それが当たり前じゃないか、それが日本人だ、と。そして金正恩政権に、「生きてる人を全員返せ」と。「歩いてタラップから降ろせ。それ以外にあなたたちにやるべきことはない」と強く叫ぼうではありませんか。
ありがとうございました(拍手)。
櫻井 ありがとうございました。ではここで、拉致議連幹事長で、元拉致問題担当大臣、松原仁さんに、決議案を読みあげていただきます。皆様のお手元に決議案があります。