拉致問題の現在?なぜ今チャンスと言えるのか 東京連続集会103
◆「自力更生、自給自足」でやれ、党は助けない
西岡力(司会、救う会会長)
私は、北朝鮮内部の政治学習のための資料をいくつか入手したんですが、今年9月に出たものは党員と労働者向けのもので、9月下旬から1時間全国で講義しろということになっています。その表紙は、「自力更生、自給自足のスローガンを高く掲げて進んでいこう」となっています。
先ほど言いましたように、北朝鮮は「核は完成した」と言って、今年4月に党の会議を開いた。今まで並進路線と言っていましたが、これは核開発と経済開発を並行してやるということです。しかし核は完成した。これからは経済に集中するという方針を出しています。
そのやり方は「自力更生、自給自足」です。国内で予備を見つけろ、と。でもないんです、そんなものは。経済再建とはいえ、上から降りてくるのは「自力更生、自給自足」です。「自分の力が第一であり、自分の精神が第一であるという確固たる判断に立たなくてはいけない。大衆的技術革新運動を力強く展開し、生産正常化の鐘の音を高く響かせなければならない」。
正常でないと言っているんです。正常化するために自分たちの力で技術革新しろと言っているんです。党は手伝わない、と。「内部予備と潜在力を残すことなく動員しなければならない」。内部予備なんかないんです。
これは抗日武装闘争方式というもので、無から有を生み出す。「金正日将軍様におかれては、日本との戦いにおいて武器も弾薬もないのに抗日闘争を戦われた」。無から有を生む。相手のものを盗むということです。しょうがないから軍人たちは農民のものを盗む。農民は市場に行って誰かの物をかっぱらう。そうしないと生きていけないんです。それが抗日武装闘争方式。
今、市場に乞食がたくさん増えています。市場の物価はそれほど上がっていません。しかし飢えている人は増えている。「どうしてですか。飢えている人が増えていれば米の値段があがるんじゃないですか」。
まずですね、北朝鮮の市場で使われている通貨は中国人民元です。あるいはちょっといい所ではドルです。北朝鮮のお金で買えるのはネギと大根と豆腐。豆腐は買えないという説もあります。靴とか服は一切買えない。米の値段は中国の東北部の値段と連動しているから上がらない。米を北に輸出するのは国連制裁違反ではない。食糧の輸出を止めると人道問題になりますから。