拉致問題の現在?なぜ今チャンスと言えるのか 東京連続集会103
◆実験場とか実験施設査察はどうでもいい、核兵器を出せと言うべき
西岡 今後どういうふうに進んでいくのかをこれから議論したいと思います。2つの観点があります。まず米朝はどこまで進むのか。安倍総理は、「核・ミサイル問題を解決し、拉致問題が解決したら不幸な過去を清算する」と言っている。
その中に拉致が組み込まれましたから、我々が期待していた拉致問題が核・ミサイル問題に先行して解決するのはなかなか困難だと思います。一緒に解決する。北朝鮮もそれを狙っています。100億ドル、1兆円というODAを出すためには、核問題の解決も必要です。そうではなく一人当たりいくらということであれば、先に解決することもありえたでしょうが、北朝鮮が選んだのも先にアメリカと交渉する、日本は後だということですから、この枠組みでいくしかない。
となると、米朝はどこまで進むのか。私はそこを島田さんと議論したいのですが、少なくとも金正恩が今持っている核兵器を差し出すという所まで決断しない限り、アメリカは制裁を緩めないと思います。
100発なのか50発なのか、100と50の間なのか、そういう説が多いのですが、それを出すところまで行くかどうかですね。島田さんどう思いますか。
島田 この北朝鮮問題でトランプ氏から細かいことを任されているのはボルトン安保補佐官だといっていいと思いますが、ボルトン氏は最近「リビアモデル」ということを口にしなくなりましたが、彼が目指しているのはあくまで「リビアモデル」で、要するに危険度の高いものから出させることです。
従って核実験場とかミサイルの実験施設、そんなものはどうでもいい。核兵器の現物をまず出せと。リビアの場合はそうしたわけです。リビアの場合はまだ核爆弾を作るところまでいってなかったわけですが。
そして、「IAEAによる査察が必要だ」という人がいます。まず北朝鮮側にどこに核物質があるのかリストを出させて、そして査察に入る。そういうことは国務省的な発想で、ボルトン氏的な発想は全く逆で、査察や協議は必要がない、北朝鮮に対しどこどこに核爆弾をすべて集めておけ、と。そしたらアメリカが輸送機で取りにいって、持って帰る。
その意味でリストなんか必要ない。北朝鮮はどこに何発あるか分かっているのだから、それを自分で集めて、取りに行くからどこに集積しましたと連絡せよという発想です。
IAEAによる査察という議論をすること自体が、北朝鮮ペース、国務省ペースにはめられることになる。注意しなければいけないと思います。