国際セミナー「激動する朝鮮半島情勢の下で拉致被害者救出を考える」全報告
◆何か動くような気配を感じる
飯塚繁雄(田口八重子さん兄、家族会代表)
皆さんこんにちは。今日は国際セミナーに参加いただき、大変ありがとうございます。
早いもので、今年もあと半月で過ぎ去ってしまいますが、我々が解決に向けて戦い始めてからもう20数年経ちます。その間、若干の進展はありましたが、大半の被害者がまだ帰って来られないまま、ずっと延び延びになっている状態です。
もちろん私たちは、取り戻すためにはどんな苦労もし、また「早く」とか、「今年中に」という言葉を再三使ってきました。しかしそれがなかなか実現できなかった。私は、「焦らずに」という言葉を使っていました。これは、焦って解決の方法が違った道に進んでいってしまうような傾向があったわけです。
私たちが求めているのは家族の帰国だけなんです。調査報告書なんかいらないんです。どうやったら被害者がいつまでに帰って来るのか。それが焦点です。そういう見方で総理大臣にもお願いしてありますが、北の謀略にまぎらわされずに、着実に進めてほしい、と。
これはいつまでかかっていもいいというわけではなく、そういう考え方で一刻も早くということです。
一昨年暮れから今年にかけて北朝鮮情勢にまつわる話がたくさんでています。当然拉致問題もその中に含まれます。今まで何もなかった状況からすれば、何か動くような気配を、みなさんもそうだと思いますが、感じます。
そういう状況を討論の場でも捕えてほしいと思いますし、今チャンス到来だと思います。これを絶対逃さずに進めていってもらいたい。もしこれを逃してしまって、何もないまっさらな状態になってしまったら、もうこれは解決できそうにない形になってしまいます。
それでは困るんです。我々はもちろん、国民の皆様も解決をめざして地道な活動もしていただいています。各地方の救う会を中心とした活動、それから各自治体も中央への申請などしていただいています。言葉では簡単に言えますが、オールジャパンの体制で来年はがっちりと組んで、いっていただきたいと思います。
このところ、違った意見、違う方向への意見が出ているようにも見えますが、そうではなく、あくまでも被害者をどうやって取り返すかを焦点にして、議員の先生方も是非きちっとまとまっていただきたいと思います。
北朝鮮の内情については難しい面がありますが、今までの各会談、米朝、米中、南北ですが、日朝もやってほしいと思います。そして拉致問題を提起して、帰国につながる手筈、これは政府の方でやっていると思いますが、実際にはなかなか日朝までは行かない。
何も決まらないまっさらな状態で安倍総理に、「行ってこい」ということではだめだと思います。やはりきちんと段取りをして、水面下の活動で被害者を返すという確認の後に、総理大臣が行くのが筋だと思います。日朝の前に、現実的、実質的な協議ができるかどうか、あるいはそれを作ることが先に来るのではないかと思います。
安倍総理におかれましては、また菅官房長官におかれましては、この問題は絶対に解決するとはっきりとおっしゃっています。その意気込みは、私たちにとって大きな期待ですが、それを後押しする国民の皆様の応援、支援も宜しくお願いいたします。
家族もそうですが、被害者は相当まいっています。ぼーっととしているとすぐ1年経ってしまう。もうそれは許されないところに来ています。皆さんと共に、こういう動きを注視して、また意見や要請をしていきたいと思います。どうか宜しくお願いいたします。ありがとうございました(拍手)。
西岡 続いて、もう一つの主催者を代表して、今日は古屋会長が国外に出張していますので、拉致議連会長代行の山谷えり子先生にお願いします。