国際セミナー「激動する朝鮮半島情勢の下で拉致被害者救出を考える」全報告
◆スネドンさんは中国雲南省で失踪
古森義久(ジャーナリスト、麗澤大学特別教授)
スネドン家の方々がここに二人いらっしゃるということで、日本の拉致問題がどういうことになるのかですが、私はワシントンでスネドン家の方々と何回もお会いして色々な話を聞いてきました。
いわゆるスネドン事件について、どういうふうに発展してきたかかなり詳しくフォローしてきました。簡単ですが、日本の拉致事件についてどういう意義を持ち得るかという観点からお話します。
発端は2004年で、もう14年前です。2004年8月に中国雲南省を旅していたデビッド・スネドンさん、当時24歳の青年でした。この人は韓国に2年間留学しており、朝鮮語が非常にうまくなり、アメリカに帰ったらロースクール、法律大学院に入りたいと準備までしていた。
帰国前、雲南省に風光明媚な渓谷があり、中国語で虎飛峡というところに行った。川が流れている断崖を渓谷沿いに歩いていた時に、行方不明になった。その時の中国当局は、「川に落ちて死んだ」という報告を出してきた。
スネドン家の方々は信じられなかった。いくつかの傍証があったということで、すぐに一家の方々が現地へ行っているんです。高齢のお父さん、お母さんも言っていますので家族の連帯、愛する者が行方不明になってしまったことの痛み、これは日本の拉致被害者家族の方々がまさに共有できることです。私自身もスネドン家の反応を見て、改めて日本人拉致被害者家族の方々の痛みを連想せざるを得ませんでした。
そしてものすごい調査活動をやっているんですね。家族兄弟が多いというのも強みなんですが、現地でデビッド・スネドンという青年が渓谷を無事に通って向こう側に着いたということが分かった。
向こう側に、中国の朝鮮族がいて、同時に北朝鮮から工作員が入ってきていたということで、デビッドさんは朝鮮系の料理屋さんで何か食べたりしていて、完全に渓谷は通り過ぎているんです。