2回目の米朝首脳会談と北朝鮮内部事情-東京連続集会報告
◆開城工団と金剛山観光を例外的に制裁の対象から外すことになるのか
西岡 力(救う会会長、モラロジー研究所教授)
色々な報道が飛び交っていますが、「読売新聞」はアメリカが出すカードとして、開城工団と金剛山観光を例外的に制裁の対象から外すことが議論されていると書きました。
これは金正恩が、1月の新年辞で、開城工団と金剛山観光については障害が全くなくなったと言った。何を言っているのか。核開発をしたから制裁をかけられたのに、「障害がなくなった」等という話ではないと思ったのですが、文在寅大統領が1月10日の記者会見で、「韓国側の障害はなくなった。あと国際的な問題だけだ」と言った。
しかし、開城工団を中止したのは、天安艦という韓国の駆逐艦が魚雷で沈没させられて、兵士が死んだからです。それなのに北朝鮮はそれを未だに認めていない。金正恩が「障害がなくなった」と言ったら、文在寅さんも「障害がなくなった」と言った。
金剛山観光を止めたのは、観光していた韓国人の女性が撃ち殺された。それで危険だと言って止めたのです。それについて北朝鮮から遺憾の意があったか、再発防止策が出たか。ないんです。何もないのに、韓国が独自にかけている制裁としてはもう終わったと言っている。但し、国際制裁があるから国際制裁を止めさせなければならない、と言っています。
文在寅政権はあまりにも前のめりですが、そういう文政権に、北朝鮮が外貨を得るルートを与えてしまうと、枯渇していた資金がもう一回充当されてしまう。「共同通信」の報道によると、アメリカはそこまでは譲歩を考えておらず、人道支援の再開、終戦宣言等だとのことです。
そこは心配なところですが、とにかく制裁が効いてきた結果、北朝鮮が一部譲歩し始めた。しかしこの譲歩では日本の安全ははかれませんし、何より拉致問題が解決しない。この状況で総理が金正恩と会って、拉致と核・ミサイルを解決したとして、国交正常化して不幸な過去の清算に至る段階まではまだ来ていない。
そこまで彼らが来る前に制裁が緩んでしまうと、日本の立場は大変弱くなると思っているのですが、ワシントンでは今どんな議論がされているのか。トランプ大統領は「金正恩とまた会うことが楽しみだ」と言っていますが、どんなプレゼントを金正恩に渡すつもりなのかについて島田さんからお願いします。