2回目の米朝首脳会談と北朝鮮内部事情-東京連続集会報告
◆北朝鮮は今も核開発を続けている
西岡 力(救う会会長、モラロジー研究所教授)
今、情報の評価という話がありましたが、核・ミサイルがどこまでできているかという評価とともに、経済制裁が本当に効いているかどうかの評価、この2つの情報評価のもとに政策がたてられると思います。また資金の枯渇については、もちろん発表されるものではありませんので情報ということになると思います。
核問題についてですが、私はソウルで米軍に近い筋と会った時に、アメリカの安全という観点からも優先順位があると言っていて、その人は「未来の核」が先だ。「現在の核」は二番目だと。もちろん一括と言っているのであまり大きな声では言えないが、と言っていました。
今も北朝鮮は核・ミサイルを作っている。いくつかの核弾頭やミサイルを搬出させても、作っている方が止まらなければ何もならない。だから作っている施設のリストを出せと言っている。
北朝鮮は寧辺の核施設は廃棄してもいいと言っている。それが事実だという前提で話しますが、寧辺には何があるのか。黒鉛減速炉があり、それでプルトニウムを作っている。それが今また動いているのではないかという情報があります。
それと濃縮ウランの工場がある。それを西側に北朝鮮は見せている。その2つを廃棄してもいいと言っているというのですが、今こちら側が一番警戒しているのは、プルトニウムではなく濃縮ウラニウムなんです。濃縮ウラニウムは原子炉なしで作れる。濃縮技術はパキスタンから北朝鮮に入っていますので、持っている。
そしてこちらにとっては大変不利なことですが、北朝鮮はウランをほぼ無尽蔵に持っている。豊富な埋蔵量があるウラン鉱山があります。今もそのウラン鉱山が動いているので核開発は続いているという証拠になっているわけです。
ですから濃縮ウラニウムをどこで作っているのか。寧辺の施設はヘッカー博士が見たんですが、あれはダミーではないかと言われていて、本物は別の所にあるという情報があり、これは去年アメリカの一部のメディアを通じて情報のリークがあって、配布資料にも書いていますが、平壌近郊の平安南道千里馬郡降仙(カンソン)製鋼所の敷地内にウラン濃縮工場があるということです。
これはかなりの情報で、西側の情報機関は韓国もアメリカもそうですが、濃縮ウラニウムは地下で作っていると思っていた。原子炉ではないので、電気さえあれば地下で作れるんです。いくつかの候補もあって、トンネルがあり、そこに人も入れて土や水を持ってくる作戦までやっていたんです。実際その地域にいくと、「ここでやっている」との噂が流れている。それがダミーなんです。
実は地上でやっていた。それも大きな製鋼所の敷地の横に建物が増設されていて、写真で見ると製鋼所が増設されたと見えるんです。木を隠すのに森の中に隠すみたいなことだったのですが、これがそうだと言えるというには衛星情報だけではなくて、人的情報が必要なんです。
このことを私に教えてくれた人は、このことはリークしたけれどもまだ持っている情報がある。私たちは知っています。ここだけじゃない、と。
トランプ大統領が、「もはや核に関する脅威がなくなった」と言った時に、色々な情報機関がリークしたものの一つがこれなんですが、核開発は多分増産が続いていて、ミサイル工場があって設計図があれば作れるわけですから、アメリカが「安全が確保された」と簡単に言えるのかという問題が、もう一つあると思います。
そして昨日、アメリカの情報長官も、「北朝鮮は今も核開発を続けている」と議会で答弁しました。まず第一段階として、濃縮ウラニウム工場について申告させる。それが我々が持っている情報と違っていたら嘘をついたなと追及する準備をしているんですと、その人は言っていました。アメリカの安全という観点からしても、ミサイルの搬出だけでよしとしないというのがプロの見方ではないかと思います。