2回目の米朝首脳会談と北朝鮮内部事情-東京連続集会報告
◆米国の安保担当補佐官と強い連携を
島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)
トランプ氏自身は現段階では何も考えていないと思います。大統領というのはそうでないとやっていけない面がある。世界中のことを相手にしなければならないし、内政問題もあるし、今この瞬間で言うと2月5日に一般教書演説がありますから、それの準備とリハーサルに相当時間をかけているでしょうし、また今ベネズエラが急場ですのでそちらにもかなり時間をとられているでしょう。
米朝会談の2週間くらい前になってブリーフィングをさせ、方針を決めていくということになると思います。ボルトンがなぜキーパースンになるかというと、彼が安全保障補佐官として常にホワイトハウスに詰めている、そういう位置にある。
大量破壊兵器の問題にしては、ボルトンが専門家中の専門家ということになっているんです。彼は国務次官の時に大量破壊兵器の担当でしたし、その後の国連大使の時もまさに北朝鮮の核問題、イランの核開発に関わってきた。地上戦、通常戦では彼は元々軍事でもなく弁護士ですから専門家ではないんですが、大量破壊兵器の問題については軍のどの人間よりも詳しいという評価があります。
それで彼の発言力も増大していますし、ポンペオという人は若い頃ちょっと陸軍にいましたが、その後民間で弁護士をしたり、それから商社に勤めたりして、その後下院議員になって、CIA長官を経て国務省長官になっています。彼は大量破壊兵器の問題を扱った経験もないし、ボルトンと比べると発言力が全然違う。
現在国防長官は不在ですが、マティスの後シャナハンという人が国防長官代行をしています。彼は元々ボーイングの筆頭副社長で、ペンタゴンにいる人たちを相手にしており、日本で言えば防衛施設庁長官のような人です。なので戦略問題や大量破壊兵器の問題は全然詳しくない。そういうこともあり、この問題ではボルトン氏の発言力が強いので、日本としてはしっかりボルトンと連携していくことです。
議会も大事ですが、議会はピンポイントでマルコ・ルビオという共和党の議員が重要です。彼は外交委員会に留任しましたが、ベネズエラの問題でも中国に対する圧力強化やファーウェイの問題でも、このルビオが議会を主導して進めてきています。連日のように彼はテレビのインタビューにも出ますし、しゃべるのもうまい人です。だからボルトンやルビオ、この人たちをしっかりつかまえる外交力が日本にあるのか。
残念ながらルビオと接触した議員が一人もいないと聞いていますが、本来なら官房副長官あたりが、総理の外遊には必ず付いていくわけですから、またそのクラスの人なら上院議員が会うでしょうから。しかし、そのパイプづくりができていないのは極めて問題だと思いますが、せめてボルトンだけでもしっかりつかむというのが絶対に必要ですね。