2回目の米朝首脳会談と北朝鮮内部事情-東京連続集会報告
◆内部矛盾が高まる北朝鮮
西岡 力(救う会会長、モラロジー研究所教授)
そして今朝の産経新聞に書いたのですが、これも内部矛盾の表れだと思いますが、私はある情報源から、「去年も別の金正恩暗殺未遂事件があった」という情報を聞きました。これは明日発売の「月刊正論」に詳しく書いているのですが、8月に元山の葛麻(カルマ)観光団地に直接指導に行く予定があった。
そこに冷凍車で機関銃を持ち込んでいた。やったのは護衛司令部の幹部。なぜか分かりませんが失敗して、その場では捕まえないで、金与正が責任者になって徹底的に調査して、11月に70人から90人くらいを逮捕した。3日後に3人公開処刑した。その内一人は護衛司令部の政治委員でナンバー2です。司令官の次の人です。護衛司令部の中で、党活動、政治活動を統括している人です。その人が処刑されたという情報です。
まだ1つの情報ですので断定できるところまではいかないのですが、護衛司令部に10月から組織指導部の検閲が入ったことは間違いない。これは複数の情報があります。そして複数の幹部が公開処刑されたというのも間違いない。
ただ、表に出ているのは不正腐敗ということで公開処刑されたということです。私が聞いているのでは、暗殺事件を隠すために不正腐敗だと言っているということです。暗殺事件についてもう一つ情報があれば確定的になると思います。
しかしこれが事実だとすると、金正恩を警護する部隊のナンバー2が暗殺計画に加担していた、ということです。これは国家非常事態です。そういうことと内部矛盾の高まりは何らかの関係があるかもしれない。金与正を中心に徹底的に調べたけれども、今回のことは外との関係は見つからなかった。韓国は今やるような状態ではないですから。
とすると本当に内部の事件だということですが、今朝のコラムでは、「12月20日に韓国の軍艦と海洋艦が2隻も行って救出した4人の北朝鮮住民は本当に北朝鮮の漁民だったのか、重大な秘密を持って逃げてこようとした脱北者だったのではないか。
この情報と合わせると一つの可能性が出てくるのではないか」と書きました。これは推測に推測を重ねたものなので何とも言えないのですが、暗殺未遂情報については、2015年、16年にあったということで、そういうことが十分起こり得る素地がある。情報も具体的なので緊張しています。
それだけ向こうは内部矛盾が高まっている。国内向けには自給自足しろとしか言えないんです。自給自足しろと言われても、自給自足できないのです。今まで何とかやってこれたのは、中国に石炭を売って、中国から物を買ってそれがチャンマダンで回っていたんです。中国に石炭や鉄鉱石を売れなくなったのが現実ですから。
そして金正恩は割と人民の生活を知っているそうです。正しく知っている。そういう面では時間は我々の味方です。今の状況が続けばですが。もちろんご家族の健康という、こちらにとっては本当に1秒も遅らせることができない問題があります。苦しい所ですが、拙速にせっかく作った包囲網の穴を開けてしまったら何もできなくなります。
私の原稿(配布資料)は、「追い詰められた金正恩?今こそ安倍外交の真価を」と書きましたが、やはり主体的に外交をしてこの機会を活かすことを是非やってほしいと強く思っています。
ここで書いたことでまだ話してないことがあります。北朝鮮の幹部たちの中でも金正恩離れが起きていて、外交官がかなり亡命しているらしいですね。太永浩(テ・ヨンホ)公使が来てみたら、非公開の人たちがかなりいたそうです。「この人たちもいるのかと思った」そうです。
私が昨年末にある情報筋から聞いた話では、「ノロ鹿は出ていった」ということです。「ノロ鹿」というのは朝鮮半島に多い小型の鹿で足が速い。足が速いから亡命予備軍のことを指すそうです。12月末には「ノロ鹿は出ていった」としか聞かなかったんですが、1月に聞くと、チョ・ソンギルという駐イタリア大使代理が逃げたことが明らかになったので、このことだったのかと思いました。
もちろん捕まりそうになったこともあったようですが、はやり家族の教育を考えて、西側で子どもたちを教育したいということです。太永浩公使もそういうことを言っていました。幹部たちも、もう北朝鮮には未来がないと思っているようです。
また北朝鮮の内部でこういう議論がされているそうです。「北朝鮮の安全保障にとって一番の脅威はアメリカ軍ではない。豊かな韓国の存在だ。豊かな韓国の存在自体が国民を動揺させている。だからこそ、今のような分断が続いてはだめだ。統一をして米軍がいなくなったら」というので、「それは本当ですか」と聞いたら、「そういう検討をしている」ということでした。そして、「核は使えないので特殊部隊と生物化学兵器を使って、6か月の間に戦争をして統一する」と。
そして韓国の5000万の人口の内、2000万くらいは殺す。それくらいしないと韓国人は言うことを聞かない。韓国の中の6割は保守派、2割が中間派、2割が左翼だと。6割が左翼のように見えますが、北はそう評価していない。だから言うことを聞かせるためには恐怖しかない、というようなことを検討している。そのために米軍撤退というなことを言っている。韓国側がこれを分かっているかどうかも重大な問題ですが、何とかしないと国内の幹部たちも動揺し、局面を打開しなければならないと思っている。しかし、アメリカと日本を中心とした制裁の包囲網が続いている。そのことの表れの一つではないかと思いました。
さて、こういう情勢を踏まえて、家族会・救う会では2月17日に運動方針に関する会議をして、今後の方針を決めようと思っています。
今日は3人の家族会の方が来てくださいましたので、お話を聞きたいと思います。ありがとうございました(拍手)。