家族会・救う会の新運動方針と米朝首脳会談-東京連続集会報告
◆経済制裁で貿易収入の9割を失い対話に
西岡 力(救う会会長、モラロジー研究所教授)
もう一つ、金正恩氏が対話に舵を切った背景は、経済制裁です。一昨年国連の安保理制裁、8月、9月、12月の制裁で北朝鮮は、貿易で得ていた外貨の90%を失いました。去年の北朝鮮の輸出はまだ正確な統計は出ていませんが、推計値が3?4億ドルしかなかった。2016年には28億ドルあった。25億ドルくらい無くなってしまいました。
それくらい厳しい制裁でした。北朝鮮の石炭、水産物、衣料品、鉄鉱石を買ってはいけないということで、世界が、特に中国がそれを守った。その結果貿易で得ていた外貨の9割が無くなったという状況の中で話し合いが始まった。
昨年6月に1回目が、そして今年2月に2回目がありました。南北首脳会談は3回ありました。中朝は今年の分も入れると4回でした。そういう対話局面に入ってきたことを踏まえて、次はあるタイミングで日朝が行われるだろうと、そしてその時チャンスが1回だけ来ると思います。そのチャンスが近づいてきた。
その1回だけ来ると思われるチャンスを活かせるかどうかはまだ分からない。日本と北朝鮮の取引きという局面になった時に、北朝鮮が全被害者を返すという決断をするのか、まだ分かりません。全被害者を返すという決断をさせるために何が必要なのかということを考えました。
2002年に5人の被害者を返したけれども結果として彼らは日本から経済協力資金を受けることはできなかった。彼らは今様々なことを検討している筈ですが、もう1回全被害者を返した時に、それでも日本の世論が激昂して被害者を返さないということがあるのかどうか。
被害者が北朝鮮でどんな目にあっていたのか。我々の想像を絶するようなことがあったかもしれません。そういうことを記者会見でしゃべるということになると、こんなひどいことをやった国に経済協力をするのかと世論がなるかもしれない。