家族会・救う会の新運動方針と米朝首脳会談-東京連続集会報告
◆米国マスメディアを信じて強く主張してしまった金正恩
島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)
これはまさにトランプ氏がハノイで首脳会談に臨むという時にぶつけて、下院で多数をとった民主党がマイケル・コーエンというトランプの弁護士だった人の公聴会、オープンなものを開いた。
トランプ氏も記者会見で言っていました。「忙しい中で全部は見ていないが断片的に見た。コーエンは嘘ばかり言っていたがただ一つ正しいことを言った」と。それがいわゆるロシアゲートで、ロシアとつるんで選挙干渉をやったのではないかという疑惑ですが、「トランプの選挙対策本部が直接ロシアと接触したことは知らない」と。ロジャー・ストーンという男が、軽い人ですが、これがウィキリークスと接触していて、どうもウィキリークスがヒラリーに損になるような情報を出すらしいということをトランプ選対に連絡してきた。そういうことはあったらしい。
「ロジャー・ストーンという人物は、トランプ選対ではなく独自に活動していた」ということもコーエンは言ったわけです。ワシントンポストですら、その直後に、「今回の証言はむしろトランプにとって有利な内容だった」という総括記事を載せています。
北朝鮮側にしても、中国の外務省もそうだと思いますが、ニューヨークタイムズやワシントンポスト、そして三大テレビ局、CIAのケーブル放送、これらは全部民主党支持で、なんとかトランプを引きずりおろしたい。
だからトランプ氏がロシアゲートで追い込まれているというのは希望的観測なんです。それをそのまま受け取ってしまう。ニューヨークタイムズやワシントンポストは権威がありますから。
日本の外務省についても、現役の外務省の人たちはしっかりしていると思いますが、OBの宮家邦彦さんなどは、そういうアメリカの受け売りで、「トランプはアメリカ国民から見放されている。だからあの政権はつぶれる寸前なんだ」と、2年近く、ずっと書き続けています。
これが外務省の有力OBということですから、北朝鮮の外務省も大して変わらない水準だと思います。トランプ氏の政治的状況を見誤っていた。
マイケル・コーエンの公聴会を見ると、共和党の議員は、「コーエンお前こそ嘘つきだ」と徹底的にトランプ擁護です。だからトランプ氏にとって、自分の支持基盤は全く揺らいでいない。
しかもコーエンの証言は、肝心のロシアゲートについては、「自分は知りません」と言う内容です。むしろトランプ氏としては、首脳会談中に、これま益々大丈夫になったと、意気軒昂にやったのではないかと思われます。
それを金正恩が分からずに高い水準の要求を続けたので、決裂になったのは当然と思います。